就業中に個人のスマートフォンを使うことを禁止していない企業は、2026年の調査で76.8%にのぼりました。何を撮ってよいか、どこまで投稿してよいかの判断は、従業員一人ひとりに委ねられていることになります。
情報セキュリティの規程とは別に、周知用の研修教材を用意する理由を、制作の要点とあわせて解説します。
規程を配ったこと自体に問題はありません。条文は違反があったときに判断の根拠として使うために書かれており、目の前の状況で何を選べばよいかを示す形にはなっていないだけです。
目次
個人のSNS投稿と就業中のスマホ使用は、どこまでルールで決められているのか
東京商工リサーチが2026年6月に実施した調査によると、直近3年で個人のSNS投稿から社内・顧客の情報が漏えいした企業は2.2%、およそ50社に1社でした。有効回答は6,942社です。
同じ調査では、就業中の個人スマートフォンの使用を禁止していない企業が76.8%を占めました。使ってよいかどうかを会社が一律に決めず、従業員の裁量に委ねている状態が多数派だという結果です。
漏えいを経験した企業の割合だけを見れば小さく映ります。ただ、私物の端末を持ち込んだまま働く形が続く限り、撮影も投稿もその場でできる状態は変わりません。使用を一律に禁止しないのであれば、従業員が自分で可否を判断できる材料を会社が渡しておく必要があります。
規程を配ったあと、従業員はどこで判断に迷うのか
規程を配っても、条文を目の前の状況に当てはめる作業は従業員一人ひとりに残ります。取引先を訪問した日に、社名を伏せて打ち合わせの様子を書き込む行為が、条文の禁じる情報の持ち出しにあたるのかどうかは読み取れません。
規程は、違反かどうかを判断する根拠として書かれる
社内で情報の扱いを定めた文書を、情報セキュリティの規程と呼びます。情報セキュリティの規程とは、取り扱ってよい情報の範囲と持ち出しの手続きを定めた社内文書で、違反があったときに会社が判断の根拠として使うものです。
根拠として使う文書のため、抜けのない書き方と、あとから解釈が割れない表現が優先されます。読んだ人がその場で行動を選べるようにすることは、規程の役割ではありません。
周知用の研修教材は、従業員が行動を選ぶために作られる
規程の内容を従業員へ伝えるために作る教材を、周知用の研修教材と呼びます。周知用の研修教材とは、規程に書かれた範囲と手続きを、従業員が自分の業務に当てはめて判断できる形へ置き換えた教材です。
規程を書く作業と、規程を伝える教材を作る作業では、必要になる技術が違います。条文は法務や情報システムの担当者が整え、場面の切り出しと見せ方の組み立ては教材制作会社が担います。
周知用の研修教材を用意すると、何が変わるのか
周知用の研修教材があれば、条文の読み解きを各自に任せずに済みます。判断が分かれる場面をあらかじめ教材の中で扱っておけば、従業員は自分の状況に近い例を手がかりに可否を選べます。
条文に載っていない場面でも、可否の分かれ目を示せる
投稿してよい例とだめな例を並べれば、条文だけでは決められない場面でも判断がつきます。展示会で自社のブースを写した写真と、同じ会場で他社のブースを写した写真を並べると、分かれ目が誰の情報を写しているかにあると読み取れます。
線引きを文章で説明するより、写真を2点並べて見せるほうが早く伝わります。デジタル教材制作では、2点の写真を同じ画面に置いて、どこが違うのかを指し示す作りにできます。
撮影と投稿が続けて起きる場面を、ひとつのまとまりとして示せる
私物のスマートフォンで撮った写真は、その場で投稿まで進みます。撮影の可否と投稿の可否を別々の項目に分けて説明すると、撮ってよい写真は投稿してもよいと受け取られてしまいます。
撮影から投稿までは同じ端末で完結します。教材でも一続きの場面として扱えば、記録用に撮ってよいが投稿はできない写真があることを示せます。
eラーニングコンテンツ制作なら、確認の設問を判断の練習にあてられる
教材を画面上で受講する形にまとめる作り方を、eラーニングコンテンツ制作と呼びます。eラーニングコンテンツ制作とは、学習の内容と確認の設問を画面で完結する形に組み立て、受講者へ配信できるようにする制作です。
確認テストを場面ごとに可否を選ばせる設問にすれば、条文を覚えているかではなく、その場で判断できるかを確かめられます。研修動画制作を組み合わせる場合も、撮影から投稿までの流れを動きで見せれば、短い尺で線引きを伝えられます。
周知用の研修教材でよくある失敗
教材が読まれなくなる原因は、条文の転記と更新の停止に集中します。どちらも作り始めの手間を減らす判断から生まれるため、教材を配ったあとになって表面化します。
規程の条文をそのまま貼り付けて教材にする
条文を並べただけの教材は、読み解きを各自に任せる点で規程の配布と変わりません。ページの見出しを条文の番号のまま残すと、従業員は自分が困っている場面から教材を引けなくなってしまいます。
見出しを場面の名前に置き換えれば、社外で仕事の話をするときや、職場を撮った写真を投稿するときに、従業員は必要なページへたどり着けます。
入社時に配ったきり、更新しないまま使い続ける
業務で使うツールやサービスが変われば、教材が取り上げた場面と実際の業務は合わなくなります。社内の連絡がチャットへ移った会社で、教材が電子メールの例しか扱っていなければ、従業員は自分の状況に当てはめられません。
差し替えの単位を場面ごとに分けておけば、ツールが変わった箇所だけを直して配り直せます。教材のデジタル化を進めておくと、差し替えた版をその日のうちに従業員へ届けられます。
周知用の研修教材の制作は大寳製版株式会社にご相談ください
大寳製版株式会社は、1967年の設立から教材・学習参考図書の制作に携わってきた教材制作会社です。愛知県春日井市を拠点に、組版・図版から動画・3Dまでを扱っています。
製造業向けに制作したデジタルマニュアルでは、作業工程をアニメーションで視覚化し、注意点・チェックポイントをポップアップで表示する形にしました。文章で並んでいた注意事項を、作業の場面ごとに示した事例です。
社内の機器マニュアルをデジタル化したサンプルでは、動画・3Dモデル・ポップアップを組み合わせています。紙面に収めきれない注意事項を、必要な場面で開く形へ置き換えた作りです。
情報セキュリティの周知用の研修教材や、規程を教材へ作り替えるデジタル教材制作をご検討の企業のご担当者様は、大寳製版株式会社へお気軽にご相談ください。配信の方法や既存の学習管理システムとの連携についても、あわせてお問い合わせください。
2026年現在、大寳製版株式会社は教育・デジタルコンテンツ制作で世界シェア1%を目標に掲げています。紙と画面の両方で伝わる形を組み立てることが、教育コンテンツ制作会社としての仕事だと考えています。
よくある質問
- Q. 情報セキュリティの規程があれば、研修教材は不要ではありませんか?
- A. 規程は違反があったときの判断根拠として書かれており、網羅性と正確さが優先されます。目の前の状況で何を選ぶかを示す役割は担っていないため、周知用の研修教材を別に用意すると、条文の読み解きを従業員個人に任せずに済みます。
- Q. 周知用の研修教材とは何ですか?
- A. 規程に書かれた情報の取り扱い範囲と手続きを、従業員が自分の業務に当てはめて判断できる形へ置き換えた教材です。条文の順ではなく、判断が分かれる場面の順に組み立てます。
- Q. 個人のSNS投稿による情報漏えいは、どのくらい起きていますか?
- A. 東京商工リサーチが2026年6月に実施した調査では、直近3年で個人のSNS投稿から社内・顧客の情報が漏えいした企業は2.2%でした。就業中の個人スマートフォンの使用を禁止していない企業は76.8%を占めています。
- Q. 教材はどの場面から作ればよいですか?
- A. 条文の順ではなく、従業員が実際に可否を迷う場面から選びます。私物のスマートフォンでの撮影と投稿のように、続けて起きる行動はひとつのまとまりとして扱うと、判断の抜けを防げます。
- Q. 紙の資料とeラーニングコンテンツ制作では、どちらを選べばよいですか?
- A. 受講の記録を残したい場合や、確認の設問で判断を練習させたい場合は、画面で受講する形が向いています。作業場所に掲示して都度見る使い方であれば、紙の資料が扱いやすくなります。両方を同じ内容で用意する進め方もあります。
- Q. 教材の更新はどのくらいの頻度で必要ですか?
- A. 業務で使うツールやサービスが変わったときが更新の目安になります。社内の連絡手段が変われば、教材が扱う場面も入れ替わります。差し替えの単位を場面ごとに分けておくと、変わった箇所だけを直せます。
- Q. 研修動画制作を組み合わせる利点は何ですか?
- A. 撮影から投稿までのように、時間の流れを伴う行動を見せられる点です。文章では手順を追って読ませる必要がありますが、動画であれば同じ流れを短い尺で示せます。
- Q. 大寳製版株式会社には、どのような制作実績がありますか?
- A. 製造業向けのデジタルマニュアルで、作業工程をアニメーションで視覚化し、注意点・チェックポイントをポップアップで表示する制作を手がけました。社内の機器マニュアルを動画・3Dモデル・ポップアップでデジタル化したサンプルも公開しています。
※本コラムはAIツールを補助的に活用し、内容の最終確認・編集は担当者が行っています。必要に応じて公表資料・一次情報を確認のうえ掲載しています。