全118元素を写真と図版で見せる図鑑が、2026年に刊行されました。
東京書籍が発表した『THE ELEMENTS 元素の図鑑』のリリース(2026年7月23日)によると、同書は元素が発見された順に沿って全118元素を扱い、原子核や電子軌道の世界までを写真や図版で表しているとされています。
写真や図版が説明の主役になる教材では、原稿を書いてから図を足す進め方が通りません。図版の点数と大きさが決まらなければ、本文がどれだけ収まるのかも決まらないためです。図鑑型の教材で制作の順序がどう変わるのかを、図版を先に確定させる進め方とあわせて解説します。
教材制作会社である大寳製版株式会社は、教材・学習参考図書の制作を50年以上続けてきました。文字を主体にした紙面と、図版を主体にした紙面では、企画の段階で決めておくことが変わります。
目次
図鑑型教材は文字主体の教材と説明の中心がどう違うのか?
図鑑型の教材では、読み手はまず写真や図版を見て、文章を補足として読みます。図鑑型教材とは、扱う対象を項目ごとに分け、1項目あたり1ページか見開きで完結させる構成の教材です。写真・図版が説明の中心になり、図版だけでは伝わらない情報は本文に置かれます。
文字を主体にした教材では、書き手が説明の順序を組み立て、図版は理解を助ける補助として置かれます。学習参考図書や問題集の紙面がその形です。図鑑型では図版と本文の関係が反転し、説明の中身が図版側にあります。
東京書籍が刊行したビジュアル図鑑が示す構成
『THE ELEMENTS 元素の図鑑』では、元素が1つずつ項目として立てられ、写真と図版で性質や用途が示されています。項目ごとに紙面が閉じているため、読み手は関心のある元素のページだけを開いても内容を追えます。
項目単位で紙面が完結する構成では、読み手が好きな順に読める代わりに、1項目に必要な図版と文字量を項目の数だけ揃える作業が発生します。理科や社会の資料集も同じ構成を採っており、項目数がそのまま制作の物量になります。
なぜ図版を先に決めるべきなのか?本文の分量が図版に左右される理由
図鑑型の教材制作では、載せる図版の点数と大きさが決まってから、本文に使える分量が決まります。判型とは、B5・A4のように紙面の縦横の寸法を表す規格で、1ページに置ける要素の量を左右する条件です。
同じ判型でも、写真を大きく扱えば本文へ回せる面積は減ります。図版を後から差し替えると紙面全体を組み直すことになるため、図版の点数と大きさを企画の段階で固めておけば、組み直しの手間を避けられます。
図版の点数が決まらないと本文の分量も決まらない
写真を大きく見せたい項目と、文章で丁寧に説明したい項目が混ざると、ページごとに文字量がばらつきます。項目ごとの文字数の上限を、図版を仮に配置した紙面から逆算して決めれば、原稿を書き直さずに全項目を揃えられます。
デジタル教材制作でも順序は同じです。画面の寸法に合わせて図版の見せ方を決めてから、そこへ収まる文章量を決めます。紙と画面の両方で使う前提であれば、両方の寸法を並べて図版の大きさを検討します。
写真と作図は示したい対象で使い分ける
実物の色や質感を伝えたい対象には写真、内部の構造や目に見えない仕組みを示したい対象には作図が向きます。作図とは、対象の形や仕組みを必要な部分だけ残して描いた図です。写真には写らない断面や過程も、作図であれば示せます。
元素の図鑑のように実物の見た目そのものが情報になる場合は、写真の点数が多くなります。植物のつくりや機械の動作のように、外から見えない部分を説明する教材では作図の割合が増えます。
作図でしか示せない対象がある
撮影できない断面や過程は、作図で描き起こします。血液の流れや電流の向きは、実物を撮っても矢印や色分けを添えなければ伝わりません。
大寳製版株式会社は、子ども向けの地図教材である学習世界地図シリーズの改訂で、小学校の中学年・高学年に向けた図版とイラストを作成しました。
地図は撮影できない対象の代表で、改訂のたびに載せる情報を選び直します。更新される部分と変わらない部分を分けて作図しておけば、改訂時の描き直しを差し替えだけで済ませられます。
図版の出所と使用許諾は企画の段階で確認する
外部から調達する図版については、使ってよい範囲を契約で定めるため、企画の段階で掲載する媒体を決めておく必要があります。利用許諾とは、使い方や範囲を定めたうえで与えられる承諾です。
2026年現在、文化庁が公開している著作権契約書作成支援システムでは、写真撮影やイラスト作成、既存作品の利用許諾を含む11種類の契約書のひな形が用意されています。図版をめぐる契約が、撮影と作成と利用で分かれていることが読み取れます。
紙の教材だけで使う前提で許諾を得た写真を、あとからデジタル教材制作へ回そうとすると、確認をやり直すことになります。紙と画面の両方で使う予定を最初の相談の時点で伝えておけば、確認を1回で済ませられます。
撮り下ろしと素材調達で変わる進め方
撮影が必要な図版があれば、制作日程に撮影日と撮り直しの余地を見込んでおく必要があります。被写体を借りる場合は、借りられる時期が日程を左右します。
既存の素材を調達する場合は、探す期間と、見つからなかったときに作図へ切り替える判断の時期を決めておきます。教材のデジタル化を同時に進めるなら、画面で拡大されても粗く見えない解像度を条件に加えます。
画面の図鑑型教材は拡大・回転できる
画面では紙面の面積に縛られないため、拡大や回転といった操作を加えられます。紙では1点しか置けなかった図版を、角度違いで何点も見せられます。
大寳製版株式会社が公開しているサンプルに、サメの3Dモデルを回転・拡大しながら部位ごとの説明を読める3D魚図鑑があります。紙の図鑑では固定される角度を、読み手が自分で変えられます。
大寳製版株式会社は2017年からデジタルコンテンツの制作に取り組んでおり、印刷用の組版データを電子書籍へ変換したサンプルも公開しています。図鑑型の教材は項目単位で紙面が完結するため、電子書籍へ移しても構成が保たれます。
よくある質問
- Q. 図鑑型教材とは何ですか?
- A. 扱う対象を項目ごとに分け、1項目あたり1ページか見開きで完結させる構成の教材です。写真・図版が説明の中心になり、図版だけでは伝わらない情報は本文に置かれます。
- Q. 文字主体の教材と、制作の順序はどう違いますか?
- A. 文字主体の教材では原稿を書いてから図版を配置しますが、図鑑型では載せる図版の点数と大きさを先に確定させ、そこから本文に使える分量を決めます。
- Q. 図版はどの段階で決めればよいですか?
- A. 企画の段階です。図版を後から差し替えると紙面全体を組み直すことになるため、図版の点数と大きさを決め、出所も確かめてから組版へ進みます。
- Q. 写真と作図はどちらを使えばよいですか?
- A. 実物の色や質感が情報になる対象には写真、内部の構造や目に見えない仕組みを示す対象には作図が向きます。断面や過程は撮影できないため作図で描き起こします。
- Q. 写真の使用許諾はいつ確認すればよいですか?
- A. 掲載する媒体を決める企画の段階です。紙だけの前提で許諾を得た写真をあとから画面向けに使うと、確認をやり直すことになります。
- Q. 紙の図鑑をデジタル教材にできますか?
- A. 図鑑型の教材は項目単位で紙面が完結するため、電子書籍へ移しても構成が保たれます。大寳製版株式会社では、印刷用の組版データを電子書籍へ変換したサンプルを公開しています。
- Q. 図版の解像度はどう決めればよいですか?
- A. 紙の印刷寸法と、画面で拡大されたときの表示の両方から決めます。教材のデジタル化を同時に進める場合は、素材を調達する条件に解像度を加えておきます。
- Q. 図鑑型の教材制作はどこに相談できますか?
- A. 組版や図版の作成から教材のデジタル化まで扱う教材制作会社が相談先になります。大寳製版株式会社へもお気軽にお問い合わせください。
図版を主役にした教材制作は大寳製版株式会社へ
図鑑型の教材では、本文を書いてから図を足すのではなく、載せる図版を先に確定させてから紙面と本文の分量を組み立てます。企画の段階で図版の点数・出所・見せ方を決めておけば、組み直しと許諾の取り直しをまとめて避けられます。
大寳製版株式会社は1967年の設立から、教材・学習参考図書の制作を50年以上続けてきた教材制作会社です。組版・図版・イラストの作成から教材のデジタル化まで対応しています。図鑑型の教材やデジタル教材制作をご検討中のご担当者様は、お気軽にお問い合わせください。
参考事例
※本コラムはAIツールを補助的に活用し、内容の最終確認・編集は担当者が行っています。必要に応じて公表資料・一次情報を確認のうえ掲載しています。