2026.08.25

行政や団体が配る手引きは読み手に合わせて作る。標題と見出しと言葉のポイントを解説

2026.08.25
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行政機関が、取り組みの進め方をまとめた手引きを公開しています。総務省はみんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)を公開し、デジタル庁はウェブアクセシビリティ導入ガイドブックを公開しています。

どちらも、担当者が読んで実際に動けるところまでを目当てにした資料です。手引きは、作る側が伝えたい内容を順番に並べただけでは、受け取った人の手元で開かれないまま終わってしまいます。

大寳たいほう製版株式会社は、学習参考図書の制作で50年以上にわたり、読んだ人が理解して動けるところまで文章と紙面を組み立ててきました。本記事では、手引きの原稿を書く前に決めておく標題・見出し・言葉の選び方のポイントを解説します。

手引きとは何か?想定する読み手で書き表し方を変える

手引きとは、ある取り組みの進め方や決まりを担当者がその場で動けるところまでまとめた文書です。制度の条文や規格の本文をそのまま並べただけのものは、この形にあたりません。

文化審議会が2022年(令和4年)1月7日に建議した公用文作成の考え方では、「広く一般に向けた文書では、義務教育で学ぶ範囲の知識で理解できるように書くよう努める。」と記載しています。

配る相手が庁内の担当者なのか、その制度に初めて触れる住民なのかで、同じ内容でも書き表し方が変わります。読み手を決めないまま書いた資料は、どちらにも届かない中間の文章になってしまいます。

専門の知識を持たない人へ配るなら言葉を選び直す

広く一般へ配る手引きでは、専門の知識がない人にとっての読みやすさを言葉選びの基準に据える必要があります。庁内で回す通知と同じ言葉遣いのままでは、受け取った人が中身を追えません。

公用文作成の考え方では、文書が法令・告示や通知・記録や公開資料・解説や広報の4つに分けられ、それぞれに想定される読み手が対応づけられています。

解説や広報にあたる文書については、「広く一般に向けた解説・広報等では、特別な知識を持たない人にとっての読みやすさを優先し、書き表し方を工夫するとともに、施策への関心を育むよう工夫する。」と記載しています。

読みやすさを優先するとは、正確さを捨てることではありません。条文の言い回しをそのまま引き写す代わりに担当者が実際に行う動作の言葉へ置き換えるという意味です。

読み手が置かれている場面を先に書き出す

同じ手引きでも、窓口で手渡されるのか、説明会の席で配られるのか、サイトから各自が取得するのかで、読み手が使える時間が変わります。手元に数分しかない場面が混ざっていれば、先頭の1ページだけで用が足りる作りにしておく必要があります。

大寳製版株式会社の制作現場でも、配る場面を聞き取らないまま組んだ資料は、刷り上がってから分量の調整が発生しがちでした。読み手が資料を開く場面を先に書き出しておけば、載せる内容を選ぶときの基準になります。

冒頭に目的と対象読者を書く

対象読者とは、その資料を実際に開いて使う人のことです。企画の段階で想定した相手ではなく、配られたあとに紙面を追う人を指します。

情報処理推進機構が公開している中小規模製造業者の製造分野におけるDX推進のためのガイドの紹介ページには、「本ガイドは、中小規模の製造業におけるDX取り組みを解説したものです。」と書かれています。

続けて「これからDXに取り組む企業に向け、その必要性や進め方をまとめています」とも書かれています。冒頭の数行で目的と相手が分かれば、読み手は最後まで読む必要があるかどうかをその場で判断できます。

標題は主題と文書の性格の両方を書く

標題とは、資料の表紙や1ページ目に置く題名です。目次や配布物の一覧にも同じ文言が並ぶため、読み手が最初に目を通す箇所になります。

公用文作成の考え方(Ⅲ-2 ア)では、「標題(タイトル)では、主題と文書の性格を示す。」と記載しています。

主題は扱う案件そのもの、文書の性格は報告なのか案内なのかという区別を指します。両方が書かれていれば、読み手は開く前に自分に関わる資料かどうかを見分けられます。

主題だけの標題は文書の性格が伝わらない

制度の名前だけを並べた標題では、制度の内容を説明する資料なのか、申請の手順を案内する資料なのかを読み手が判別できません。開いてから自分には関係がないと分かる資料が増えるほど、窓口への問い合わせも減らないままになってしまいます。

制度の名前のうしろに申請手続の案内という性格を表す語を足すだけで、開くべき人の範囲が絞られます。標題は本文を書き終えてから付け直すより、原稿にとりかかる前に決めておいたほうが、載せる内容の取捨も揃います。

見出しだけを追って中身がつかめる並びにする

手引きは通読される資料ではありません。目次と見出しをたどって自分に関わる箇所へ跳ぶ読み方が前提になるため、見出しの並びがそのまま資料の骨組みになります。

公用文作成の考え方(Ⅲ-2 エ)では、見出しの付け方について「見出しだけを読んでいけば、文書の内容と流れがおおよそつかめるようにするとよい。」と記載しています。

章立てを決めたら、見出しだけを続けて読み上げてみると、抜けている論点や順序の入れ替わりに気づけます。本文を書き込んでからでは、章をまたぐ並べ替えに手間がかかってしまいます。

論点が複数あるときはまとまりごとに見出しを立てる

短い通知なら見出しを付けずに本文だけで足ります。手続きの対象と提出先のように扱う論点が複数あるなら、まとまりごとに見出しを付けておくと、読み手は探している箇所へ直接たどり着けます。

区切る大きさは、1つの見出しの下に別の論点が混ざっていないかで判断できます。混ざったまま見出しを1つで済ませると、目次から跳んだ先で読み手が該当箇所を探し直すことになってしまいます。

見出しの文言は端的にして飾りの語を外す

見出しでは、回りくどい言い回しや飾りの多い言葉遣いを避けておく必要があります。修飾の語を外して、そのまとまりの中心にある内容だけを残すと、目次に並べたときに資料全体の流れが読み取れます。

標題と見出しが呼応しているかも、あわせて確かめておきます。標題が案内であれば、見出しにも申請の手順にあたる文言が並ぶはずで、そこがずれていれば章立てのどこかに要らない節が残っています。

専門の言葉は使う範囲をあらかじめ決める

資料の中で繰り返し出てくる中心的な言葉は、正式な名称のまま残したほうが、後から法令や規格を引くときに突き合わせられます。一方、一度しか出てこない言葉は、その場で説明できる平易な言い換えへ置き換えておけます。

どちらにするかを書きながら判断すると、章によって同じ概念が別の言葉で説明され、読み手が同一のものだと気づけなくなってしまいます。原稿にとりかかる前に正式な名称のまま残す言葉の一覧を作っておく必要があります。

デジタル庁が2023年2月24日に公開し2025年10月16日に更新したウェブアクセシビリティ導入ガイドブックは、この分野に初めて取り組む行政官や事業者を対象にした資料です。

紹介ページには、この資料の作り方について「専門用語を極力排し、多くの図解と平易な言葉で具体的に何に対応すべきかを解説」と書かれています。

図解へ置き換えれば文章で説明せずに済む

図解とは、対象の仕組みや手順の関係を線と図形で表した図です。文章のように読む順序を強いないため、読み手は必要な箇所だけを目で追えます。

前後の関係や条件による分岐を文章だけで説明すると、入れ子が深くなって一文が長くなります。同じ内容を図解へ置き換えれば、分岐の数が増えても紙面の読みづらさは変わりません。

初めて出す言葉には短い言い換えを添える

正式な名称のまま残した言葉には、初めて出てくる位置に短い言い換えを添えておきます。巻末の用語集だけにまとめると、読み手はそのつど巻末へ移動することになってしまいます。

添える言い換えは、その文の中で読み切れる長さに収めておく必要があります。正確な定義を書き切ろうとすると括弧の中が長くなり、本文の流れが途切れてしまいます。

手順を伝える資料は段階に区切って並べる

取り組みの進め方を伝える手引きでは、やるべきことを一覧で並べるより、着手から完了までを段階に区切って並べたほうが、読み手は自分がどこから手を付けるのかを決められます。

総務省のみんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)は、紹介ページで「公的機関がウェブアクセシビリティの確保・維持・向上に取り組む際の取組の支援を目的として作成された手順書」と説明しています。

段階の数は取り組みの規模で変わります。最後の段階まで並べたうえで、着手前に確かめておく事柄が先頭に来ているかを見直しておきます。

読み手が今いる段階を分かるようにする

段階に番号を振り、それぞれの先頭に前の段階で終えているはずのことを書き添えておけば、読み手は自分の位置を確かめられます。

途中の段階から読む人もいます。段階ごとに前提を書き添えておくと、先頭へ戻らずに読み進められます。

手引きやガイドブックの制作は大寳製版株式会社へ

大寳製版株式会社は、1967年の設立から学習参考図書の組版・図版制作を続けてきた教材制作会社です。読んだ人が理解して行動できるところまでの組み立てを企画から組版・図版・印刷まで一気通貫で対応しています。

手引きやガイドブックのように、読み手が場面ごとに拾い読みする資料にも、教材で培った見出しと図版の組み立てをそのまま当てられます。デジタル教材制作や、作業手順を画面で伝えるデジタルマニュアルの制作についても、大寳製版株式会社へあわせてご相談いただけます。

参考事例

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DTP / デザイン / デジタルコンテンツ / 動画 / 電子書籍

デジタルマニュアル

株式会社T様(プラスチック成型)

パンフレット作成 制作実績を見る

DTP / デザイン

パンフレット作成

株式会社ひかりホールディングス様

よくある質問

Q. 手引きの標題には何を書けばよいですか?
A. 扱う案件そのものと、報告なのか案内なのかという文書の性格の両方を書いておく必要があります。主題だけを並べた標題では、開くべき人が自分で判断できません。
Q. 手引きに専門用語を使ってはいけませんか?
A. 一律に禁じる必要はありません。繰り返し出てくる中心的な言葉は正式な名称のまま残し、一度しか出てこない言葉は平易な言い換えへ置き換えておく必要があります。初めて出てくる位置に短い言い換えを添えておけば、読み手は巻末を探さずに読み進められます。
Q. 手引きの見出しはいくつくらいが適切ですか?
A. 数そのものに決まりはありません。扱う論点のまとまりごとに1つ立て、見出しだけを追って資料の流れがつかめるかどうかで判断できます。
Q. 手引きの制作を外部へ頼むとき、何を先に決めておくとよいですか?
A. 配る相手と、その人が資料を開く場面です。窓口で手渡すのか説明会で配るのかで、分量と紙面の組み方が変わります。大寳製版株式会社では、原稿の整理の段階からご相談いただけます。

※本コラムはAIツールを補助的に活用し、内容の最終確認・編集は担当者が行っています。必要に応じて公表資料・一次情報を確認のうえ掲載しています。

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