2026.09.09

学校向けの金融教育の教材は中学校と高校で扱う範囲が違う。教科の内容と公的な資料の分担を解説

2026.09.09
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金融の内容を学校向けの教材で扱うときにどこまでを載せてよいのかは、教科ごとに決まっています。中学校の社会科と高校の家庭科では、同じ金融でも扱う深さが違います。

DeltaXが2026年8月に実施した保護者調査によると、学校の授業で充実させてほしい内容は「お金」が67%で最多だったと報告されています。家計管理や税金、社会保障といった生活に直結する内容が優先されている傾向もあわせて報告されています。

本記事では、中学校と高校の教科で定められた金融の範囲と、教科の範囲外の項目を受け持つ公的な資料の分担を解説します。

中学校向けの教材で扱う金融の範囲

学校の金融教育は、金融という教科があるわけではなく、中学校では社会科の公民的分野に含まれ、高校では公民科と家庭科に含まれています。教材で扱う範囲も、この教科の区分に従います。

公民的分野で扱う金融の仕組み

中学校の段階で扱う金融は、お金の貸し借りの仕組みまでです。仕組みを説明するには、間接金融と直接金融の区別が必要になります。間接金融とは、家計の預金を銀行などの金融機関が仲介して企業へ貸し出す資金の流れで、直接金融とは、企業が株式や債券を発行して投資家から直接資金を集める流れです。

金融広報中央委員会が2021年3月に改訂した学校における金融教育の年齢層別目標には、中学生の目標として「金融機関の種類と機能について理解する」「間接金融、直接金融の仕組みについて理解する」が社会科の公民的分野の内容として記されています。

これは、中学校の公民的分野では金融機関の種類と間接金融・直接金融の仕組みを理解させることが目標になっているということです。株式や債券などの金融商品があることを知る項目は、同じ資料の中学生の欄でも教科名を伴わない項目になっています。教科の授業で使う教材であれば、仕組みの説明までで範囲に収まります。

解説が求める説明の深さ

仕組みをどこまで細かく書くかについては、解説の側に指針があります。文部科学省の中学校学習指導要領解説 社会編には、金融については金融機関がある理由と役割を扱い「網羅的,専門的な用語の説明に陥らないようにすることが大切である」と記されています。

つまり、解説は金融機関がある理由を問う程度に留め、網羅的な用語の説明に陥らないよう求めています。銀行・信用金庫・証券会社・保険会社を並べて機能を一覧にする作りは、この指針から外れてしまいます。金融機関がなければ家計の貯蓄が企業へ届かないという説明のほうが、解説の求めに合う書き方です。

中学生向けの教材で資金の流れを見せる形

中学生向けの教材では、用語の定義を並べる形ではなく資金の流れを図にしておけば、預金が貸し出しに変わって企業へ届く順序を生徒が一目で追えます。家計と企業のあいだに金融機関を描いて矢印で結ぶ図であれば、用語の説明は矢印の脇に短く添える程度で足ります。

中学校向けの教材では、金融の仕組みを家計から企業へ資金が回る流れとして扱い、商品の選び方までは扱いません。

高校家庭科向けの教材で扱う家計管理と金融商品

高校では、金融の内容のうち家計に関わる部分が家庭科の内容に含まれています。家庭科向けの教材では、金融商品より先に家計管理が来ます。

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家庭科で定められた家計管理の内容

先の年齢層別目標には、高校生の目標として「家計の収支構造を理解する」「長期的・計画的な資金管理の大切さを理解する」が家庭科の内容として記されています。同じ資料によると、改訂された学習指導要領が2022年4月から高等学校で実施されることを受けて改訂されたとされています。

これは、高校の家庭科では家計の収支構造と長期的な資金管理の理解が目標になっているということです。収支の構造を知ってから長い期間の資金管理へ進む順序になっています。

金融庁が令和4年3月17日に公表した高校向け 金融経済教育指導教材によると、第1章は「家計管理とライフプランニング」で、使う・備える・貯める・増やす・借りるの章がその後に続く構成です。教科の目標と同じように家計管理を先頭にした構成です。

金融商品の特徴と資産形成の扱われ方

金融商品は家庭科でも扱いますが、扱い方に条件があります。文部科学省の高等学校学習指導要領解説 家庭編には、家庭基礎の家計管理について「預貯金,民間保険,株式,債券,投資信託等の基本的な金融商品の特徴(メリット,デメリット),資産形成の視点にも触れるようにする」と記されています。

つまり、解説では、金融商品は預貯金・保険・株式・債券・投資信託の特徴をメリットとデメリットの両面で扱い、資産形成にも触れるとされています。同じ箇所には、教育資金や住宅取得、老後の備えのほかにも事故や病気、失業などリスクへの対応が必要であることを取り上げるとあります。

教材では、商品ごとに増える見込みと減る可能性を同じ欄に並べる形が、この記述に合います。特定の商品を勧める書き方は、家庭科の範囲を超えてしまいます。

給与明細を題材にした演習

解説には指導の例も挙げられています。同じ解説には「給与明細を教材に,可処分所得や非消費支出など家計の構造や収支のバランスについて扱った上で,高校卒業後の進路や職業も含めた生活設計に基づいて,具体的にシミュレーションすることなどが考えられる」と記されています。

そのため、給与明細のような実物を題材にした演習を教材に組み込んでおけば、家計の構造を生徒が計算しながら追えます。総支給額から税と社会保険料が引かれて手取りが決まる欄を明細の形のまま載せ、生徒が自分で差し引きを書き込む欄を横に添えた教材が、この例に当たります。

高校家庭科向けの教材では、家計管理を中心に据え、金融商品はメリットとデメリットを並べて資産形成に触れます。

保護者が授業に求める内容が置かれている教科

保護者が求める内容には、高校の家庭科の内容に対応する項目があります。リード文で触れたDeltaXの保護者調査では、家計管理のほか税金や社会保障のような生活に直結する内容が優先されていました。家計管理は家庭科の家計の単元にあたり、税と社会保障はその中の支出の項目にあたります。

家計管理と関連付けて扱う社会保障と税

家庭科の家計管理には、税と社会保障を扱う箇所があります。家計の構造を扱う箇所には、可処分所得や非消費支出という語が出てきます。非消費支出とは、税金や社会保険料のように消費のために使うのではなく家計から差し引かれる支出です。

先の高等学校学習指導要領解説 家庭編には、生涯を見通した経済の計画について「社会保障制度などと関連付けながら考えることができるようにする」と記されています。

これは、家庭基礎の解説では非消費支出と社会保障制度を家計管理と関連付けて扱うとされているということです。税と社会保障は、家計の単元の外ではなく、収支の中の項目として扱われます。

高校生の家計管理で最初に扱う費用の把握

年齢層別目標の高校生の家計管理は、自分にかかる費用から組まれています。同資料には「現在の自分の生活や教育などのために支払われている費用を知り、家計全体を意識して自分にかかわる支出を考える態度を身に付ける」と記されています。

これも、高校生の家計管理は自分のために支払われている費用を知ることから組まれているということです。授業料や食費のように保護者が支払っている費用を書き出す活動が先にあり、その先に長期的な資金管理が続く順序です。

税と社会保険料を置く単元

税と社会保険料は、家計の支出の項目として同じ単元にまとめておけば、手取りがどう決まるのかを一か所で読めます。税と社会保険料を別々の単元へ分けてしまうと、給与明細の演習で計算した差し引きと説明が離れてしまいます。給与明細の演習と一緒にしておけば、保護者が求める内容を家計管理の流れの中で扱えます。

保護者が授業に求める家計管理・税・社会保障は、高校家庭科の家計管理の範囲に含まれています。

教科の範囲外の項目を受け持つ資料

教科の内容項目に載らない金融の項目も、学校では扱われています。総合的な学習の時間や特別活動で行われてきた内容です。

年齢層別の目標に含まれる発展的な項目

年齢層別目標には、教科名の付いた項目と付かない項目があります。同資料の注記には「年齢層別目標のうち末尾に教科等名が記載されていないものは、各教科における発展的な学習や、総合的な学習の時間および特別活動において実践されてきたものなどを中心にとりまとめたものである」と記されています。

つまり、年齢層別目標には学習指導要領に記述のない発展的な学習や総合的な学習の時間で実践されてきた内容も含まれています。高校生の欄では、投資と投機の違いや、複数の金融商品に資金を分散するリスク管理の方法が、教科名を伴わない項目として並んでいます。

年齢層別の目標と整合させた金融リテラシー・マップ

学校の外で使われる基準にも、同じ目標が反映されています。金融経済教育推進会議の金融リテラシー・マップ(2023年6月改訂版)には、小学生から高校生までの部分について年齢層別目標の内容を「当推進会議として確認・検討のうえ、整合性を確保しました」と記されています。

これは、金融リテラシー・マップの高校生以下の部分は年齢層別目標と整合するよう作られているということです。学校向けの目標と学校の外の基準が同じ内容でそろっているため、公的機関の教材も同じ項目に沿って作られます。

金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2026年7月3日に案内した各種教材によると、年齢層別の標準講義資料は金融リテラシー・マップの内容に沿った講義資料とされています。教科の範囲外の項目を扱う教材を作る場合は、この講義資料と同じ項目立てが参照先になります。

授業向けと総合的な学習向けで合わせる基準

授業向けの教材を教科の内容項目に合わせ、総合的な学習向けの教材を年齢層別目標の項目に合わせておけば、載せる項目の範囲を教材の用途ごとに決められます。家庭科の授業で使う教材に投資と投機の違いまで載せると、教科の範囲を超えてしまいます。総合的な学習の時間に使う教材であれば、教科名のない項目まで扱えます。

教科の範囲外の項目は、年齢層別の目標と公的機関の資料が受け持っています。

まとめ

学校の金融教育の教材で扱う範囲は教科ごとに決まっており、教科の範囲外の項目は年齢層別の目標と公的機関の資料が受け持っています。中学校では金融の仕組みが中心で、高校の家庭科では家計管理と金融商品の特徴が中心です。

大寳製版株式会社では、その教材がどの教科のどの項目に対応するのかを企画の段階で確認するところからご相談いただけます。

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大寳製版株式会社は、教材・学習参考図書の制作を50年以上続けてきた教材制作会社です。中学生向けの社会教材を紙面の形を残した電子書籍にし、解答の表示を切り替える機能を加えた社会 デジタル整理ワークの実績があり、公民的分野の教材のデジタル化についてもご相談いただけます。

子ども向けの学習世界地図シリーズの改訂で組版と図版を担当した実績もあり、資金の流れを図で見せる紙面についてもお問い合わせください。家庭科向けのデジタル教材制作でも、給与明細の欄に数値を書き込む演習のような形を大寳製版株式会社へご相談いただけます。

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よくある質問

Q. 中学校向けの教材で金融商品の選び方まで扱ってよいですか?
A. 中学校の公民的分野の目標は、金融機関の種類と間接金融・直接金融の仕組みの理解までです。株式や債券があることを知る項目は教科名を伴わない位置にあるため、授業用の教材では仕組みの説明に留めておくと範囲に合います。
Q. 高校の家庭科向けの教材で資産形成はどこまで書けますか?
A. 家庭科の解説では、預貯金・民間保険・株式・債券・投資信託の特徴をメリットとデメリットの両面で扱い、資産形成にも触れるとされています。特定の商品を勧める内容は家庭科の範囲を超えます。
Q. 年齢層別目標と学習指導要領の項目はどう違いますか?
A. 年齢層別目標は、学校での金融教育の目標を年齢層ごとに整理した資料です。教科名の付いた項目は学習指導要領を反映しており、付いていない項目は総合的な学習の時間や特別活動で実践されてきた内容です。
Q. 教材制作会社に金融教育の教材を依頼するとき何を伝えればよいですか?
A. 対象が中学校か高校かと、授業用か総合的な学習用かを先に伝えると、合わせる基準が決まります。大寳製版株式会社では、企画の段階からご相談いただけます。

※本コラムはAIツールを補助的に活用し、内容の最終確認・編集は担当者が行っています。必要に応じて公表資料・一次情報を確認のうえ掲載しています。

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