設備の点検記録は、点検した本人だけが読む文書ではありません。数年後に別の担当者が同じ設備の状態をたどるときの手がかりになり、検査の種類によっては保存する年数まで決まっています。
記録票に何を書くかは、書く人の裁量に任される部分と、法令であらかじめ決まっている部分に分かれます。2026年現在、動力プレスなどの定期自主検査については、記録する事項と保存の年数が労働安全衛生規則第百三十五条の二(e-Gov法令検索)に定められています。
設備1台ごとの履歴として何を残すのか、法令が定める記載事項と記録票の作りを解説します。
目次
設備の記録は台帳と点検記録に分かれる
設備の記録を1枚の用紙にまとめようとすると、機種名やメーカー名を点検のたびに書き写すことになります。設備の記録は、導入したときに決まって以後変わらない情報と、点検のたびに増えていく情報の2つに分けて残します。
設備管理が対象にするのは導入から廃棄まで
設備管理とは、設備を導入してから廃棄するまでの全期間を対象に状態を把握して手入れを続ける活動です。公益社団法人日本プラントメンテナンス協会による設備管理の解説によると、設備管理は「設備を設計から廃棄まで一貫して最適にマネジメントすること」とされています。
導入から廃棄までのうち、設備が稼働している間は点検記録が増え続けます。1台につき何十枚もたまる文書になるため、あとから必要な回の記録を引き当てられるかどうかが、記録票の作りに掛かってきます。
台帳に載せるのは後から変わらない情報
点検のたびに同じ内容を書き写す手間を減らす文書が設備台帳です。設備台帳とは、機種名・メーカー名・設置場所・導入年月のように、その設備を特定する情報を1台につき1件でまとめた文書です。
点検記録の用紙には管理番号だけを印刷しておき、機種名やメーカー名は設備台帳をたどれば分かる状態にしておけば、点検のたびの記入量を減らせます。台帳側を直せば全部の記録に反映されるため、設置場所が変わったときの書き換えも1件で済みます。
点検記録の記載事項は法令に定めがある
2026年現在、記録票の項目を一から考える前に、その設備が定期自主検査の対象になっていないかを確かめておく必要があります。定期自主検査とは、事業者が定められた周期で設備を検査して結果を残す制度です。対象になる設備では、記録する事項と保存する年数まで決まっています。
動力プレスの定期自主検査で残す6つの事項
動力プレスとシャーの定期自主検査では、6つの事項を記録して3年間保存します。労働安全衛生規則第百三十五条の二には、記録する事項として「一 検査年月日 二 検査方法 三 検査箇所 四 検査の結果 五 検査を実施した者の氏名 六 検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容」と定められています。
検査年月日から補修の内容までの6項目は、法令の対象になっていない設備の点検記録にもそのまま使えます。誰がいつどこを見て、どう判断し、何をしたのかという並びは、設備の種類が変わっても要る情報だからです。
記録票の項目は自分で決めなくてよい
記録票の欄をどう立てるかで迷ったときは、公開されている様式を先に見ます。国土交通省官庁営繕が公開する保全台帳及び保全計画書の様式には、建築物と設備の保全に必要な記入欄が設けられています。
自社の設備にそのまま当てはまらない様式でも、欄の並び方と項目名の付け方は参考になります。
点検記録でよくある失敗
点検記録が後から使えなくなる原因は、書き方の取り決めが足りないところにあります。記録そのものは毎回残っているのに、読み返す段になって意味を取れなくなってしまいます。
略語をそのまま書き残す
職場でしか通じない略語で点検記録を書くと、配置換えのあとに読む担当者が意味を追えなくなってしまいます。略語を使う場合は元の言葉を記録票の欄外に並べておけば、初めて読む人でも対応を確かめられます。
異常なしだけを書いて状況を残さない
異常なしだけが並んだ点検記録は、次の点検で比べる相手になりません。前回と同じ状態なのか、少しずつ変わってきているのかを後から判断できなくなってしまいます。
数値を測る箇所には測定値を記入し、目視の箇所には見えた状態を短く書き添えておけば、前回との違いを追えます。ベルトのたわみやオイルのにじみのように少しずつ進む変化ほど、記録の差でしか気づけません。
写真の撮り方を決めていない
撮る位置と向きを決めずに残した写真は、あとから見比べられません。同じ箇所を撮っていても、距離と角度が違えば設備の変化なのか撮り方の違いなのかを判断できなくなってしまいます。撮影の位置と向きを記録票の図に書き込んでおけば、担当者が替わっても同じ構図で残せます。
記録票は書く人が迷わない形にする
記録票の良し悪しは、書く人が替わっても同じ書き方に収まるかどうかで決まります。点検する人ごとに書き方が変わる用紙では、記録を集計する前に読み替えの作業が挟まってしまいます。
同じ部位を指す言葉を1つに決める
同じ箇所を指す言葉が複数あると、記録を後から集められません。同じ部品を主軸と呼ぶ人とメインシャフトと呼ぶ人が混ざれば、どちらの記録も検索から漏れます。用語を1つに決めて記録票へ印刷しておけば、書く人が言葉を選ぶ場面そのものをなくせます。
自由記入の欄を選択肢に変える
書く人の判断が要る欄は、あらかじめ用意した選択肢から選ぶ形にしておけば、書き方が揃います。程度を書く欄であれば、なし・軽微・要交換のように段階を並べて丸を付ける形にしておきます。自由記入の欄は、選択肢に当てはまらなかった内容を書き足す場所として残しておきます。
検査箇所は図の番号で指す
検査箇所は、言葉で書くよりも図に振った番号で指すほうが特定しやすくなります。記録票に設備の外観図を刷り込み、点検する箇所へ通し番号を振っておけば、書く人は番号の行を埋めるだけで済みます。
大寳製版株式会社は、教材や学習参考図書の制作で50年以上、図版と本文を対応づける紙面づくりに取り組んできました。どの図のどこを見ればよいのかが伝わらない紙面は、教材でも現場の記録票でも同じところでつまずきます。
現場で使う文書のデジタル化は大寳製版株式会社へ
設備の点検記録は、法令が定める記載事項を満たしたうえで、書く人が同じ書き方に収まる記録票にまとめます。項目の並びが固まったら、紙のまま回すのか画面から入力する形に移すのかという次の判断が出てきます。
大寳製版株式会社は1967年の設立以来、教材制作会社として学習参考図書や教材の紙面を作ってきました。2017年からはデジタルコンテンツの制作にも取り組み、製造現場で使うマニュアルのデジタル化を手がけています。
プラスチック成型の株式会社T様向けに大寳製版株式会社が制作したデジタルマニュアルでは、作業工程をアニメーションで見せ、注意点とチェックポイントをポップアップで表示し、多言語に対応しました。言葉と経験の差があっても同じ手順を追える形にした事例です。
点検記録票やマニュアルなど、現場で使う文書のデジタル化についても大寳製版株式会社へご相談ください。愛知県春日井市から紙面の作りとデジタルの見せ方の両方でお手伝いします。
よくある質問
- Q. 設備の点検記録には最低限どの項目を書けばよいですか?
- A. 検査年月日・検査方法・検査箇所・検査の結果・検査を実施した者の氏名・補修などの措置の内容の6項目です。2026年現在、定期自主検査の対象になる設備では法令にこの6項目が定められており、対象外の設備でも記録の骨組みとして使えます。
- Q. 設備台帳と点検記録は分けたほうがよいですか?
- A. 分けたほうが記入量を減らせます。機種名やメーカー名のように後から変わらない情報は設備台帳へ1件だけ残し、点検記録には管理番号と点検のたびに変わる内容を記入します。
- Q. 点検記録に異常なしとだけ書いてもよいですか?
- A. 異常なしだけでは、前回と比べられる情報が残りません。数値を測る箇所には測定値を記入し、目視の箇所には見えた状態を短く書き添えておくと、少しずつ進む変化に気づけます。
- Q. 記録票の様式はどこから探せばよいですか?
- A. 公的機関が様式を公開している分野では、その様式の欄の立て方が参考になります。自社で項目を一から考える前に確認しておくと、必要な欄の抜けを防げます。
※本コラムはAIツールを補助的に活用し、内容の最終確認・編集は担当者が行っています。必要に応じて公表資料・一次情報を確認のうえ掲載しています。