改正個人情報保護法のデータ利活用同意特例が教材・マニュアル制作の現場に与える影響について、大寳製版株式会社が、教材・学習参考図書の制作で培った50年以上の実務経験をもとに、対応のポイントとあわせて解説します。
2026年7月17日に公布された改正個人情報保護法では、AI開発や統計情報の作成を目的とする場合に限り、本人の同意なしで個人データを第三者提供できる同意特例が新設されました。
eラーニングコンテンツ制作や研修動画制作の現場では受講ログ・学習データを蓄積する仕組みが増えており、この特例をきっかけに、学習者・受講者へどう説明するかを見直す動きが今後出てくると見込まれます。
2026年現在、教材やマニュアルに紐づくデータの取り扱いについて、発注担当者から制作会社への相談が増える可能性があります。施行まで猶予はあるものの、教材の改訂は年単位で回るため、次の改訂に説明資料の整備を組み込めるかどうかが実務の分かれ目になります。
目次
改正個人情報保護法の同意特例とは何か
改正個人情報保護法の同意特例とは、AI開発や統計情報の作成という目的に限り、本人の同意を得ずに個人データを第三者提供できる新しい規定のことです。
Web担当者Forumが報じた改正個人情報保護法の公布(2026年)によると、この改正法は2026年7月17日に公布され、政令で定める2年以内に施行される予定です。
特例が新設された背景
AI開発では大量の学習データが必要になる一方、これまでは個人データを第三者へ提供する際に本人から個別の同意を得る手続きが原則として必要であり、開発の速度を妨げる要因になってきました。
今回の改正は、AI開発や統計作成という目的に限定することで、データ利活用と個人情報保護の両立を図る狙いがあります。目的を絞り込む形での緩和のため、教育・研修分野を含む幅広い業種に影響が及ぶ可能性があります。
教育・研修分野との関わり
教育・研修分野では、eラーニングコンテンツ制作や研修動画制作を通じて、受講者の学習履歴や視聴データを蓄積するケースが一般的になっています。こうしたデータをAIによる学習効果の分析や教材改善に活用する場面では、今回の同意特例が直接関わってきます。
正答率の傾向を分析して出題内容を見直す、視聴の離脱ポイントを分析して動画構成を改善するといった活用は、いずれも受講者個人のデータをAIで処理する行為にあたります。
教材・マニュアル制作でデータ利活用が生じる場面はどこか
教材・マニュアル制作でデータ利活用が生じる場面は、コンテンツを届けた後の受講・視聴の記録に集中しています。記録が最もまとまった形で残るのは、eラーニングコンテンツ制作を通じて届ける教材です。
eラーニングコンテンツ制作とは、学習管理システムなどを通じて受講者の進捗や成績を記録しながら教材を提供する仕組みのことであり、記録されたログはそのままAI活用の対象になり得ます。
eラーニングコンテンツ制作の受講ログ
eラーニングコンテンツ制作では、正答率や学習にかかった時間、つまずいた設問などのログが自動的に蓄積されます。これらのログをAIで分析し、個々の受講者に合わせて出題順や復習範囲を自動調整する仕組みも普及しています。
受講者数が多い研修ほど蓄積されるログの量も大きくなり、AI分析による効果は高まる一方で、取り扱うデータの範囲も膨らんでいきます。
研修動画制作の視聴データ
研修動画制作でも、視聴時間や再生を止めた箇所といった視聴データが記録される仕組みが一般的になってきました。企業研修では、こうしたデータを研修効果の測定やAIによる理解度の推定に使う場面が今後増えていくと考えられます。
視聴を途中で止めた箇所が特定の受講者に偏っている場合、その受講者個人の理解度をAIが推定する形でデータが使われることもあります。
データ取り扱い説明資料に何を盛り込むべきか
データ取り扱い説明資料とは、教材・マニュアルを通じて取得するデータの種類・利用目的・AI活用の有無を、学習者や受講者に向けて示す文書のことです。同意特例の適用要件を満たす場合でも、学習者・受講者との信頼関係を保つうえでは、こうした説明資料を整えておく意味があります。
記載すべき基本項目
基本項目としては、取得するデータの種類、利用目的、AI開発や分析への利用有無、第三者提供の範囲、問い合わせ窓口が挙げられます。これらは学習者・受講者が疑問を持ったときに、迷わず確認できる形で整理しておく必要があります。
とりわけAI開発や分析への利用有無は、今回の同意特例が適用されるかどうかに直結する項目であり、学習者・受講者にとって最も気になりやすい部分です。
学習者・受講者への周知方法
周知方法は、教材やマニュアルの冒頭画面、ログイン後の初回表示、印刷物であれば表紙裏など、学習者・受講者が必ず目にする位置に配置するのが基本です。説明資料の文言は、教材本体の文体・トーンと大きくずれないよう調整すると、違和感なく読み進めてもらえます。
専門用語を多用した法務文書のような書き方では、学習者・受講者が内容を読み飛ばしてしまいます。平易な言葉で要点を絞って伝える工夫が欠かせません。
説明資料の整備を制作会社に相談する際のポイント
説明資料の整備を制作会社に相談する際は、法務判断と制作面の役割分担をあらかじめ明確にしておくことがポイントになります。データの取得範囲や利用目的の適法性そのものは専門家への確認が必要な事項であり、制作会社が担うのは、決定した方針を教材・マニュアルの画面レイアウトや文言に反映する部分です。
制作会社に相談できる範囲
制作会社に相談できるのは、説明資料の掲載位置の検討、教材本体との文体の統一、多言語対応が必要な場合の翻訳版の作成といった、コンテンツ制作に直結する範囲です。適用要件の判断や社内規程の整備については、顧問弁護士や専門家への確認が必要になるため、制作会社への相談と並行して進めるとよいでしょう。
たとえば説明資料の分量が多く教材の見た目とちぐはぐになる場合、要点を絞った別紙やポップアップ形式に組み替える調整も、制作会社が担える範囲に含まれます。
大寳製版株式会社が力になれること
大寳製版株式会社は、教材制作会社として企画から組版・デジタルコンテンツ制作までを一気通貫で対応できる体制を持っており、説明資料の文言を教材本体のデザインに落とし込む相談を受け付けています。
株式会社T様向けに制作したデジタルマニュアルでは、注意点や確認事項をポップアップで分かりやすく表示する工夫を取り入れた実績があり、こうした知見はデータ取り扱いに関する周知表示のデザインにも活かせます。
2026年7月に公布された改正個人情報保護法の同意特例は、AI開発や統計作成という目的に限定した規定です。教材・マニュアル制作の現場では、受講ログや視聴データをAIに活用する場面が2026年度中にも増えていくと見込まれ、データ取り扱い説明資料の整備は早めに検討しておきたいテーマになりつつあります。
大寳製版株式会社では、教材・学習参考図書の制作で培った50年以上の実務経験をもとに、データの取り扱いに関する周知表示を含め、学習者に読み飛ばされない教材の見せ方をご提案しています。
よくある質問
- Q. 改正個人情報保護法の同意特例とは何ですか?
- A. AI開発や統計情報の作成という目的に限り、本人の同意を得ずに個人データを第三者提供できる規定です。2026年7月17日に公布されました。
- Q. 施行はいつからですか?
- A. 政令で定める公布から2年以内に施行される予定です。具体的な施行日は今後の政令で確定します。
- Q. 学校や企業の教材・マニュアルにどう関係しますか?
- A. eラーニングコンテンツ制作や研修動画制作で蓄積される受講ログ・視聴データをAI分析に使う場合、今回の同意特例が直接関わってきます。
- Q. 受講ログをAI開発に使う場合、必ず説明資料が必要ですか?
- A. 同意特例の要件を満たせば法律上の同意取得は不要になりますが、学習者・受講者との信頼関係を保つ観点から、利用目的を示す説明資料を用意しておくことが望ましいといえます。
- Q. データ取り扱い説明資料には何を書けばよいですか?
- A. 取得するデータの種類、利用目的、AI活用の有無、第三者提供の範囲、問い合わせ窓口を基本項目として盛り込みます。
- Q. 既存のeラーニング教材にも対応が必要ですか?
- A. 既存の教材で受講ログをAI活用する予定がある場合は、改訂のタイミングで説明資料を追加することを検討するとよいでしょう。
- Q. 制作会社にどこまで相談できますか?
- A. 説明資料の掲載位置の検討や教材本体との文体統一など、コンテンツ制作に直結する部分を相談できます。適用要件の法的な判断は専門家への確認が必要です。
- Q. 大寳製版株式会社にはどんな相談ができますか?
- A. 教材・マニュアルの画面レイアウトや文言に説明資料の内容を落とし込む相談を受け付けています。デジタルマニュアルや紙教材のデジタル化といった制作実績を踏まえた提案が可能です。
※本コラムはAIツールを補助的に活用し、内容の最終確認・編集は担当者が行っています。必要に応じて公表資料・一次情報を確認のうえ掲載しています。