2026.11.06

マニュアルを作る前に描く業務フロー図の細かさの選び方。手順書につなぐポイントを解説

2026.11.06
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マニュアルを作る前に業務の流れを図にする際、どこまで細かく描くのかは担当者が迷いやすい点です。工程の名前だけを並べた図では手順書の章立てに結び付かず、手の動きまで描いた図では全体が見えにくくなってしまいます。

日経クロステックの記事「業務プロセスと業務フロー あなたは両者を区別できるか」(2026年10月26日)のように、業務を記述するときの語の区別も論点の一つです。

手順書を作成する前に業務フロー図を作業の単位で描いておけば、マニュアルに記載する範囲と担当の切れ目を先に確定できます。この記事では、業務プロセスと業務フローの違いと、図の細かさの選び方と手順書への移し方を解説します。

業務フロー図で見渡せる業務の流れ

手順書の文章は1つの作業を順に追うには向いているものの、業務の全体と担当の境目は把握しにくいものです。全体を見渡す資料を手順書とは別に用意しておけば、手順書のどの部分が業務のどこに当たるのかを確認できます。

業務フロー図とは何か?

業務フロー図は、職場によってフロー図や業務の流れ図とも呼ばれる資料です。

石川県が自治体職員向けに作成した業務改革(BPR)のハンドブックによると、業務フローは「業務の一連の流れを図式化し、客観的に可視化するためのツール」とされています。

業務フロー図は業務の一連の流れを図にしたものです。図にしておけば、描いた人の頭の中にあった順序を他の人も同じ形でたどれます。

業務フローの記法を定めた国際規格

業務フロー図の記号は、社内で独自に定めることもできます。ただし、記号の意味が人によって異なると、図を受け取った人が処理と判断を取り違えてしまいます。

総務省行政評価局の調査官による資料「中央政府及び自治体におけるBPM/BPMNの展開動向」には、業務フローの記法の一つであるBPMNについて「ISO19510として国際標準化されている」と記載されています。

業務フローの記法は国際規格として標準化されています。社内で図を描く場合は、規格どおりの記法まで用いる必要はありません。開始と終了、処理、判断の記号を社内でそろえておけば、描いた人が替わっても図の読み方をそろえられます。

担当ごとの区切りと受け渡しの箇所

担当ごとに区切って描いておけば、役割の切れ目を図の上で確認できます。作業が別の担当へ移る箇所は線が区切りをまたぐ形で現れるため、成形の担当から検査の担当へ製品が移る場面のような受け渡しを図の上で探せます。

業務フロー図は業務の流れと担当の受け渡しを共通の記号で見渡せる資料です。

業務プロセスと業務フローはどう違うのか?

2つの語は組織によって意味が異なるため、用語の正解を定めるより、社内で何をどの語で呼ぶかをそろえるほうが実務の役に立ちます。

業務プロセスという語が指す範囲

業務プロセスは成果を生むための活動のまとまりを指す語です。受注から出荷までの一連の活動は、業務プロセスの一例にあたります。図にする対象の範囲を定めるときは、どの成果までを1つのまとまりと見るかを先に確定することになります。

業務フローという語が指す範囲

業務フローは活動の順序と担当を図の形で表したものを指す語です。同じ業務プロセスでも、見る目的によって描かれる業務フローの範囲と細かさは異なります。受注から出荷までの業務プロセスであれば、部門の間の流れを描いた図と、1つの部門の中の作業を描いた図の両方が成り立ちます。

図に任せる流れと文章に回す作業の詳細

図に説明を追記していくと、線と箱の見通しが悪くなってしまいます。

総務省行政評価局の調査官による資料には、業務フローの図とは別に作業の詳細を業務記述書という文書へ整理する例が記載されています。

そのため、流れを図に任せて作業の詳細を文章に分けておけば、図の見通しを保てます。図は順序に絞り、条件や注意点は文章の側で受け持つ形であれば、読み手は流れと詳細を別々に追えます。

業務プロセスと業務フローを分けて捉えておけば、図と文章の分担を定められます。

業務フロー図の細かさはどう選ぶのか?

細かさは図を描く人の好みではなく、その図を見て何を判断するのかによって定まります。

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目的と利用者による細かさの分け方

1枚の図で全員の用途を満たそうとすると、箱の数が増えて流れを追いにくくなってしまいます。

総務省行政評価局の調査官による資料には、業務の改善を検討する図と、システム化を検討する図の2階層に分ける例が記載されています。

図の細かさは目的と利用者に応じて分けることが推奨されています。管理者が業務の全体を確認する図と、担当者が手順を確認する図を別にしておけば、それぞれの用途に合う細かさで描けます。

粗すぎる図と細かすぎる図

図の1つの箱に何を記載するかは、描く人によって大きく異なります。

石川県の業務改革(BPR)のハンドブックによると、「粒度が粗すぎると業務の実態が把握できず、逆に細かすぎると全体像が見えづらくなる」とされています。粒度とは、図に記載する単位の細かさのことです。

図は粗すぎても細かすぎても業務を把握しにくくなります。描いた図を担当者以外に読んでもらい、業務の順序を説明できるかどうかを確かめれば、細かさの過不足に気づけます。

業務の見直しで用いる作業の単位

自治体の業務の見直しでは、図の細かさに目安を設けた例があります。

石川県の業務改革(BPR)のハンドブックでは、「記述する粒度は「作業単位」とすること」と定められています。掲載された例では、会議関連事務は粗すぎる単位、開催通知作成は作業の単位、書類を印刷する動きは細かすぎる単位にあたります。

業務の見直しに用いる図の目安は作業の単位です。誰が何をどの順番で行うかを1つの箱で確認できる大きさが、作業の単位にあたります。自治体の業務を対象にした基準であるため、製造の現場では工程の区切りに合わせて読み替える必要があります。

手順書の本文へ回す動作の説明

手順書の前に描く図を作業の単位にしておけば、動作の説明は手順書の本文へ回せます。手の動かし方まで図へ記載すると箱の数が増えて流れが追いにくくなるため、動作は手順書の本文で写真や図版とあわせて説明するほうが読み手は理解しやすくなります。

マニュアルの前に描く図は、目的に合わせて細かさを選んでおけば、図と手順書の分担を定められます。

業務フロー図から手順書への移し方

図は描いた時点では描いた人の理解を写したものであり、現場の実態と照らして初めて手順書のもととして用いられます。

担当者ごとに異なる手順の洗い出し

1人の説明だけで図を描くと、その人のやり方が標準として固定されてしまいます。

厚生労働省の介護分野の解説「手順書の作成」によると、「同じ業務でも、人によってその手順や方法が異なることは非常に多く見られる現象です」とされています。

同じ業務でも担当者によって手順が異なることは多くあります。介護の現場向けの解説ではあるものの、複数の人が同じ作業を受け持つ職場であれば、やり方を見比べてから図にしておくことで標準の手順を話し合えます。

関係者と確認する手順の過不足

手順書の本文を作成したあとに順序を直すと、修正の範囲が大きくなってしまいます。

石川県の業務改革(BPR)のハンドブックには、図を描いたあとの工程として「作成したフローを関係者で確認し、手順の過不足や認識のずれを修正する」と記載されています。

そのため、描いた図を関係者と確認しておけば、手順の過不足と認識のずれを直せます。箱の並びの段階で確認しておくと、修正の手間も小さく収まります。

図の並びと手順書の見出しのそろえ方

図の箱の並びを手順書の見出しの順にそろえておけば、図と本文を行き来できます。読み手が図で全体の位置を確かめてから本文へ移れるようになり、改訂のときも図と本文のどこを直すかを探しやすくなります。

文字を減らしてフロー図を用いる手順書

作業の手を止めて読む手順書では、長い文章を読むほど作業の時間が削られてしまいます。

厚生労働省の介護分野の解説「手順書の作成」によると、「文字が多い手順書では、読むのに時間がかかり、結局現場では活用されないといった事態が発生します」とされています。

現場で読む手順書は文字を減らしてフロー図を活用することが必要です。読むのに時間がかかる文章より、順序を目で追える図のほうが作業の場面に合います。

デジタルマニュアルでの図と動画の結び付け

デジタルマニュアルとは、画面で閲覧する形式のマニュアルで、動画や写真へのリンクを組み合わせられるものです。図の箱ごとに動画や写真を結び付けておけば、デジタルマニュアルで該当の手順へ移れます。図が目次の役割を果たすため、読み手は必要な手順だけを選んで確認できます。

業務フロー図は実態と照らしてから手順書の骨組みに用いられます。

まとめ

図の細かさを目的に合わせて定めておけば、手順書で記載する内容と図で見せる内容の分担が定まります。

手順書を作成する前に業務フロー図を作業の単位で描いておけば、マニュアルに記載する範囲と担当の切れ目を先に確定できます。

現場で読むマニュアルの制作は大寳製版株式会社へご相談ください

大寳製版株式会社は、教材・学習参考図書の制作で50年以上の実績があります。製造会社の新人教育に向けて作業工程をアニメーションで見せるデジタルマニュアルを制作した事例もあります。

社内の印刷機の紙マニュアルをデジタル化したマニュアルC2070では、手順の流れを動画で、部品の位置を3Dモデルで確かめられるようにしました。デジタルマニュアルのサービスはマニュまるのサイトでご覧いただけます。業務フロー図をもとにしたマニュアルの整備については、大寳製版株式会社へご相談ください。

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よくある質問

Q. 業務フロー図とフローチャートは同じものですか?
A. フローチャートは処理の流れを記号で表した図の総称で、業務フロー図はそのうち業務の流れを表した図を指す場合が多くあります。呼び方は職場によって異なるため、社内で語をそろえておけば取り違えを防げます。
Q. 業務フロー図はどこまで細かく描けばよいですか?
A. 図を見て何を判断するのかによって異なります。手順書の前に描く図であれば、誰が何をどの順番で行うかが1つの箱で確認できる大きさを目安にすると、動作の説明を手順書の本文へ回せます。
Q. マニュアルがすでにある場合も業務フロー図は必要ですか?
A. 既存のマニュアルに流れを図にした箇所があれば、その図をもとに現在の手順との違いを確認できます。図がない場合は、改訂の前に業務の流れを図にしておくと、見直す範囲を把握できます。
Q. 業務フロー図の作成から大寳製版株式会社へ相談できますか?
A. 業務フロー図の作成を含むご依頼の範囲については、大寳製版株式会社へお問い合わせください。

※本コラムはAIツールを補助的に活用し、内容の最終確認・編集は担当者が行っています。必要に応じて公表資料・一次情報を確認のうえ掲載しています。

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