2026年、夏休みの宿題に生成AIを使う小学生が増えています。家庭に届ける教材も、AIに聞けば答えが出てしまうことを前提に作らなければなりません。
2026年7月に発表された調査では、宿題への生成AI利用を認める保護者が4割を超えました。ところが読書感想文や作文になると3割前後まで下がります。同じ宿題でも用途によって受け止め方が割れています。
受け止め方の差は、宿題のどの部分がAIに置き換わるのかを示しています。家庭学習向けの教材制作では、AIで答えが出る課題と出ない課題を分けて考える必要が出てきました。
大寳製版株式会社は、教材・学習参考図書の制作を1967年の設立から50年以上続けてきた教材制作会社です。AIで答えが出る課題と出ない課題は何が違うのか、家庭学習向けデジタル教材をどう作り替えるのかを解説します。
目次
家庭学習向けデジタル教材にAI利用が前提として入ってきたのはなぜか?
家庭学習向けデジタル教材とは、学校の授業を離れて学習者が一人で取り組むことを前提に作られた教材のことで、解答と解説を同じ教材の中に持たせる点に特徴があります。
SHIFT AIが小学生の保護者722名に実施した調査(2026年)では、子どものAI利用を把握している保護者に用途を聞いたところ、学校の宿題が56.0%で1位になりました。
使われているのは特別なツールではありません。アタムアカデミーが小中学生の保護者460人に実施した調査(2026年)によれば、子どもが使うAIツールはGeminiが42.6%、ChatGPTが40.9%と、無償で使える対話型AIが上位を占めました。
一人で取り組む教材だからこそ、子どもは詰まった問題を考え直すより先に、そばにある対話型AIへ聞いてしまいます。手を止めて悩むか、質問を打ち込めば答えが返るかを選択する状況であれば、後者に手が伸びやすいです。
教材制作会社の立場で見ると、子どもがAIに答えを聞ける状況をきっかけに、教材の解答の見せ方を考え直す必要があります。2026年現在、別冊解答を保護者が預かる運用も、答えのページを離して綴じる工夫も、AIの前では止める力を持ちません。
AIで答えが出る課題と出ない課題は何が違うのか?
保護者が許容するかどうかの境目は、AIの出力が提出する成果物そのものになるかどうかにあります。SHIFT AIの調査(2026年)では、自由研究のテーマ決め・アイデア出しが67.0%、わからない問題の解説が64.1%と高い許容度を示しました。
一方で読書感想文は32.7%、作文・日記は31.3%にとどまります。子ども自身の感じ方や経験を提出するものは、AIに書かせた時点で課題として成立しなくなるためです。
AIに置き換えられない課題とは、答えの正しさではなく、答えにたどり着くまでに何を見て何を選んだかを示させる課題を指します。手を動かした跡を評価の対象にすれば、AIの出力をそのまま貼り付けただけの提出物を防げます。
デジタル教材制作でこの違いを扱うときは、単元ごとに課題を2種類へ仕分けます。正答が一意に決まる練習問題は、AIで即座に解けるという前提で見直します。考えを書かせる課題は、途中の手順まで含めて提出させれば、子どもが自分で考えた跡を確かめられます。
AI利用を前提にした家庭学習教材で起きやすい失敗とは?
教材のデジタル化にあわせてAIへの対応を織り込もうとすると、注意書きと解答機能の2か所でつまずきが起きます。
禁止の文言を増やして終わってしまう
巻頭にAIを使わずに解きましょうと添えるだけの対応は、家庭では守られません。保護者の4割以上が用途によっては使ってよいと考えている以上、家庭のルールと教材の注意書きが食い違ってしまいます。
注意書きは思いついたときに一行足せる手軽さがあるぶん、その場しのぎの対処で終わってしまいます。AIに聞いても提出物が埋まらない課題を単元ごとに組み込めば、注意書きに頼らずに対処できます。
タップすると答えだけが出る解答機能にしてしまう
デジタル教材の解答表示は、実装が簡単なだけに正誤だけを返す作りになりがちです。AIが同じ答えを即座に返す2026年現在、正誤を伝えるだけの機能は教材側の役割を失っています。
アタムアカデミーの調査(2026年)で、AIの悪い影響として保護者が挙げた理由の1位は思考力の低下で64.9%でした。答えだけを返す解答機能は、保護者がいちばん心配している状態を教材の側から後押ししてしまいます。
学習の過程が残る家庭学習向けデジタル教材はどう作るか?
家庭学習の教材作成者は、答えを隠す作りをやめて、答えにたどり着くまでの過程が残る作りへ変える必要があります。紙面の構成と画面の機能の両方に手を入れることになります。
解き方の手がかりを段階的に出す
答えを一度に見せる代わりに、解き方の手がかりを少しずつ渡す方法があります。段階的ヒントとは、答えそのものを伏せたまま、着目する条件や次に行う操作を小刻みに提示する仕組みのことです。ヒントを1つずつ開く形にしておけば、子どもがどこで詰まったかを記録として残せます。
対話型AIに質問すると、多くの場合はいきなり完成した解法が返ってきます。段階を踏んで開く作りにしておけば、子どもは自分がどこまで理解できていたかを言葉にできます。
選んだ理由と途中の手順を書き込ませる
選択問題であれば、なぜその選択肢を選んだかを一行書かせる欄を設けます。理由を書く欄があれば、AIの回答を写しただけの答案では欄が埋まらず、子どもは自分がどう考えて選んだのかを言葉にできます。
紙の教材で長く使われてきた途中式の記入欄は、この考え方をそのまま実現していました。デジタル教材制作でも、入力欄と手書き入力を組み合わせれば、同じ働きを持たせられます。
保護者が過程を確認できる作りにする
家庭学習では、丸つけをする保護者が学習の様子を知る唯一の相手になります。どの問題でヒントを開いたか、どこを書き直したかが見える形になっていれば、保護者は正誤以外の話を子どもとできます。
大寳製版株式会社には、中学生向けの社会科教材を電子書籍にした社会 デジタル整理ワークで、解答の表示の切り替えと繰り返し学習の機能を組み込んだ実績があります。家庭学習向けの教材のデジタル化についても、あわせてお問い合わせください。
家庭学習向けデジタル教材制作は大寳製版株式会社にご相談ください
AIで答えが出る課題と出ない課題の違いは、提出する成果物が子ども自身の考えを示すかどうかにあります。家庭学習向けデジタル教材は、答えを隠す作りから、答えに至る過程が残る作りへ切り替える段階に入りました。
大寳製版株式会社は、教材・学習参考図書の制作で50年以上の実績を持つ教育コンテンツ制作会社です。紙面の組版から電子書籍・インタラクティブなデジタル教材まで、企画・原稿・組版・イラスト・動画・3D・印刷を一気通貫で対応しています。
2026年の夏以降に家庭学習向けデジタル教材の作りを見直したい教育出版社のご担当者様は、大寳製版株式会社へお気軽にご相談ください。
参考事例
よくある質問
- Q. 家庭学習向けデジタル教材とは何ですか?
- A. 学校の授業を離れて学習者が一人で取り組むことを前提に作られた教材です。解答と解説を同じ教材の中に持たせる点に特徴があり、家庭では保護者が丸つけを担う場面が多くなります。
- Q. 宿題に生成AIを使うことを保護者はどの程度認めていますか?
- A. SHIFT AIが小学生の保護者722名に実施した調査(2026年)では、積極的に活用させたいと内容によっては使ってよいの合計が42.1%でした。用途別では自由研究のテーマ決めが67.0%と高く、読書感想文は32.7%にとどまります。
- Q. AIで答えが出てしまう練習問題は、教材から外すべきですか?
- A. 外す必要はありません。正答が一意に決まる練習問題は反復の役割を持ちます。AIで即座に解ける前提に立ち、途中の手順を書き込ませる欄や段階的ヒントを添える形へ作り替えます。
- Q. 段階的ヒントとは何ですか?
- A. 答えそのものを伏せたまま、着目する条件や次に行う操作を小刻みに提示する仕組みです。ヒントを開いた履歴が残るため、学習者がどこで詰まったかを保護者や指導者が確認できます。
- Q. 子どもはどのAIツールを使っていますか?
- A. アタムアカデミーが小中学生の保護者460人に実施した調査(2026年)では、Geminiが42.6%、ChatGPTが40.9%でした。無償で使える対話型AIが上位を占めています。
- Q. 紙の教材でもAI利用を前提にした作りに変えられますか?
- A. 変えられます。途中式や選んだ理由の記入欄は紙面の構成で実現できます。ヒントの開示履歴や入力内容の保存を残したい場合は、デジタル教材制作と組み合わせる方法があります。
- Q. 既存の紙教材をデジタル教材に作り替える場合、期間はどのくらいかかりますか?
- A. 教材の分量・搭載する機能・改訂の頻度によって変わります。既存の組版データを活かせるかどうかで工程が変わるため、手元のデータの形式とあわせて大寳製版株式会社へご相談ください。
- Q. 教材制作会社に相談する前に、社内で決めておくことはありますか?
- A. 単元ごとに、正答が一意に決まる課題と学習者自身の考えを書かせる課題を仕分けておくと話が早く進みます。仕分けの結果によって、必要な入力機能と紙面の構成が決まります。
※本コラムはAIツールを補助的に活用し、内容の最終確認・編集は担当者が行っています。必要に応じて公表資料・一次情報を確認のうえ掲載しています。