2026年5月、国内最大級のストック素材サービス「PIXTA」が、AI生成素材の取り扱いを終了すると発表しました(参考:PIXTA、2026年5月22日に「AI生成素材」の取扱いを終了)。
理由として挙げられたのは「購入者ニーズとのミスマッチ」という言葉です。AIが画像や素材を瞬時に生成できる今、なぜAI素材の提供が見直されたのか。その背景には、コンテンツに求められる本質的な価値が見えてきます。
教材制作の現場でも、同じ問いが生まれています。AIが文章を書き、イラストを描き、レイアウトを提案できる今、それでも「人間が設計したコンテンツ」が求められる理由とは何か。本記事では、このトレンドを読み解きながら、教材制作における人間の技術の役割を整理します。
なぜAI生成素材への期待が見直されているのか
PIXTAが公表した理由は「購入者ニーズとのミスマッチ」でした。AI生成画像の見た目の品質が年々向上する一方、利用者が求めているのは「この文脈で、この読者に、このイメージを伝えるための素材」です。
見た目の精度よりも、意図を持って設計された表現が求められているのが現実です。教材制作においても同様の現象が見えてきています。
AIが生成したイラストや図版は一見わかりやすそうに見えることがありますが、学習者が理解するために必要な情報が抜けていたり、逆に本質と関係ない情報が目立ってしまうことも少なくありません。
教材制作でAI生成コンテンツが向かない場面とはどこか
教材のコンテンツ制作で重要なのは「見た目」だけではなく「伝わる設計」です。読者の学習段階・知識量・理解の流れに合わせて、どの情報をどの順番でどの粒度で見せるかという設計判断が、学習効果を左右します。
たとえば理科の実験手順を示す図版では、現象の全体像を見せながら注目すべき箇所を強調し、誤解を招く余分な情報を省く必要があります。この「省く・強調する・順序を決める」という行為は、学習者への理解と制作経験の積み重ねから生まれるものです。
AIは「それらしいビジュアル」を生成できますが、「この教材で学ぶ読者に何が必要か」という起点からの設計は、現段階では人間の判断が欠かせません。
人間の技術が活きる具体的な領域とは何か
教材制作で特に人間の技術が問われるのは、情報の構造化・図版やイラストの意図設計・組版やレイアウトの3つの領域です。
情報の構造化とは、どの概念を先に学ばせ、どの順番で積み上げていくかの設計です。学習の全体像を見通して整理する能力は、コンテンツ制作の経験と教育への理解から培われます。
図版・イラストの意図設計においては、抽象的な概念をどの程度のリアルさで、どの角度から可視化するかの判断が問われます。「見た目が正確」と「読者に伝わる」は必ずしも一致しないことがあり、伝わる表現を選ぶのは制作者の経験と判断です。
組版・レイアウトでは、文字間隔・行間・余白・色のコントラストといった細部が、読みやすさと学習効果に直結します。長年の教材制作から培われた感覚は、ルールとして言語化しにくい部分を多く含んでいます。
大寳製版が実践する「伝わる教材」の設計
大寳製版株式会社は1967年の設立以来、50年以上にわたって学習参考図書の組版・図版作成・デジタルコンテンツ制作に携わってきました。
企画から制作・納品まで一気通貫で対応できる体制のもと、「教材屋らしい、伝わるわかりやすさ」を実践しています。AIを活用した制作支援を行いながらも、設計の核心——「何を、誰に、どう伝えるか」——は人間が担うという姿勢を大切にしています。
ビジュアルの見た目だけでなく、学習者が理解に至るプロセスを設計する力こそが、大寳製版が長年磨いてきた技術の根幹です。図版作成・組版・デジタルコンテンツへの展開まで、教材制作に関するご相談があればお気軽にご連絡ください。
まとめ
AI生成コンテンツの普及は、制作の効率化という意味で大きな変化をもたらしています。一方でPIXTAの事例が示すように、利用者が本当に求めているのは「ただ生成されたもの」ではなく、「意図をもって設計されたもの」です。
教材制作においても、AIが得意とする作業を活かしながら、人間が設計の軸を担うという役割分担が、高品質なコンテンツを生み出す鍵になります。大寳製版株式会社では、そのような設計の担い手として、50年以上の教材制作の知見を活かしたサポートを提供しています。
※本コラムはAIツールを補助的に活用し、内容の最終確認・編集は担当者が行っています。必要に応じて公表資料・一次情報を確認のうえ掲載しています。