教材に載せる3Dモデルやイラストを外部の共有サービスから調達することがあります。調達した素材には提供元が定めた利用の条件が付いており、その条件は素材ごとに違います。
2026年8月10日、Epic GamesがArtStationとSketchfabをKitBashへ売却すると発表しました。購入済みの素材と契約中の利用はこれまで通り続くと説明されていますが、素材を預けている先の運営が変わること自体は実際に起こります。
教材・学習参考図書の制作を手がける大寳製版株式会社が、調達した素材のライセンスと入手先を記録しておくべき理由を教材制作での確認ポイントとあわせて解説します。
目次
3Dモデルの共有サービスは運営元が変わることがある
素材の調達先として長く使ってきたサービスでも、運営する会社は入れ替わります。
Mogura VRが報じたEpic GamesによるArtStationとSketchfabの売却(2026年8月13日)によると、両社はEpic Gamesが運営していたArtStationとSketchfabがKitBashのポートフォリオに加わったと発表しています。
Sketchfabは3Dモデルを公開・配布できるサービスで、Epic Gamesが2021年に買収していました。教材へ組み込む3Dモデルの入手先として使っている制作会社にとっては、素材の置き場所を管理する会社が5年ほどで二度替わったことになります。
購入済みの素材と契約中の利用は継続すると発表された
運営元の変更が、そのまま素材を使えなくなることを意味するわけではありません。同じ発表では、購入済みのキットやアセット、Cargoへのアクセス、契約中のサブスクリプションはこれまで通り継続するとされています。ポートフォリオやライブラリ、基本的な使い方も従来通り運用されるとも書かれています。
2026年8月のArtStationとSketchfabの売却に関しては、手元の教材で使っている素材が突然使えなくなる前提で身構える必要はありません。ただし、引き継がれる範囲は発表ごとに決まります。
どの範囲が引き継がれるのかを読み取るには、自分がどの条件で素材を手に入れたのかが分かっている必要があります。
素材ライセンスとは何か
どの条件で手に入れたのかは、素材ライセンスに書かれています。素材ライセンスとは、素材の提供元が利用者へ認める利用の範囲を定めたものです。同じサービスで配布されていても、素材ごとに認められる範囲は違います。
CCライセンスは表示・非営利・改変禁止・継承の組み合わせで決まる
3Dモデルの共有サービスでは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが広く使われています。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは、作品の作者が利用してよい条件をあらかじめ明記しておくための仕組みです。
条件の基本は、作者名の表示です。クリエイティブ・コモンズ・ジャパンによるライセンスの種類の解説によると、CC BYは改変も営利目的での二次利用も許可される最も自由度の高いCCライセンスとされています。表示さえ守れば、使い道は狭まりません。
Creative Commonsが公開しているAbout CC Licensesは、CC BY-NCを非営利の目的に限って利用を認めるものと定め、CC BY-NDについては派生物や翻案を認めず元の形のままでの複製と配布に限ると記しています。
非営利とは、商業上の利益や金銭的な報酬を主な目的としない利用です。
残る継承(SA)だけは、素材ではなく作ったものの側に条件が及びます。改変して作ったものを同一または互換のライセンスで公開するよう、同じ資料が求めています。
配布サイトが独自に定めるライセンスもある
CCライセンスとは別に、サービスが自前で用意した条件が付く素材もあります。Sketchfabが公開しているライセンスの一覧によると、Editorial Licenseの素材は商業目的や宣伝目的での利用ができないとされています。
同じ一覧では、Standard Licenseについて、映像作品では技術的に可能な場合にクレジットを表示すべきだと定めています。無料で配布されている素材と有料で購入する素材では、条件の系統そのものが別です。
素材を教材へ組み込む前に種別と利用範囲を確認する
素材は、教材へ組み込む前に利用条件を確認しておく必要があります。組み込んだ後に非営利限定だと分かると、その素材を使った紙面や画面をすべて作り直すことになります。図版と本文の位置関係まで決まった段階では、差し替えは素材の交換だけでは終わりません。
確認するのは、ライセンスの種別と、その種別が認めている利用の範囲です。教材の場合は、商用の可否、加工の可否、クレジットの表示場所の3点が判断に直結します。デジタル教材制作では画面の余白が限られるため、クレジットをどこに置くかは早い段階で決めておくと後の調整が減ります。
教材は改訂のたびに同じ素材を扱う
素材の条件を記録しておく必要が生じるのは、教材が一度作って終わりではないからです。学習内容の更新や版の切り替えのたびに、前の版で使った素材を引き継ぐか差し替えるかを決める必要があります。初版で調達した素材を数年後の改訂でもう一度扱うことになります。
改訂の作業で手元にあるのは、完成した紙面や画面のデータです。素材をどのサービスで手に入れ、どの条件が付いていたのかは、制作データの中には残りません。記録がなければ、素材の出所を画像から探し直すところから始めることになります。
調達の条件を確認する担当者が入れ替わる
改訂までの期間が長いほど、初版を担当した人が同じ案件に関わっているとは限りません。担当者が交代すると、調達時にどの条件を確認したのかを知る人が社内に残らない状態になります。
口頭で引き継いだ内容は、数年後の改訂までは残りません。素材の条件は、制作物とは別に後から誰でも読める形にしておく必要があります。
制作時に記録しておく項目
記録しておくのは、素材ごとの入手先とライセンスの種別、そして入手した日付です。3点が揃っていれば、提供元の運営が変わったときに、自分の使い方が引き継がれる範囲に収まっているかを判断できます。
入手先はサービス名と素材のページまで残す
入手先は、サービス名だけでなく素材のページまで残しておく必要があります。サービス名だけでは、運営元が変わってサイトの構成が入れ替わったときに、同じ素材へたどり着けません。
素材のページには、作者名とライセンスの表示が併記されています。ページを残しておけば、条件を確認し直すときに一次情報へ戻れます。作者が素材を取り下げる場合もあるため、条件の記載を画面ごと保存しておくと確実です。
ライセンスの種別は名称のまま書き写す
ライセンスを記録するときは、CC BY 4.0のように名称と版数をそのまま書き写します。商用可や加工可といった要約は、判断した人の解釈が混ざった記録です。
名称が残っていれば、後から条件の原文にあたって読み直せます。教材の使い方が初版と変わったとき、たとえば校内配布から販売へ広げるとき、同じ素材が新しい使い方でも条件に収まるかを確かめられます。
3Dコンテンツを含む教材制作は大寳製版株式会社へ
外部から調達した3D素材は、ライセンスの種別と利用範囲を確認したうえで入手先とあわせて記録しておけば、提供元の運営が変わったときに使い続けられるかを判断できます。記録は制作の途中ではなく、素材を選んだその場で残すのが確実です。
大寳製版株式会社は1967年の設立以来、教材・学習参考図書の制作に携わってきました。回転やズームに対応した3Dコンテンツも自社で制作しており、サメの体のつくりを立体で確かめられる3D魚図鑑や、施設の位置を立体の地図でたどれるデジタル案内図を公開しています。
教材へ3Dコンテンツを組み込みたい、紙の教材を画面向けに作り直したいといったご相談を大寳製版株式会社では承っています。素材の扱いを含めた進め方についても、あわせてお問い合わせください。デジタル教材制作をご検討中のご担当者様は、教材制作会社としての大寳製版株式会社へお気軽にご相談ください。
参考事例
よくある質問
- Q. 素材の共有サービスが売却されると、使っている素材は使えなくなりますか
- A. 2026年8月のArtStationとSketchfabの売却では、購入済みのアセットと契約中のサブスクリプションはこれまで通り継続すると発表されています。引き継がれる範囲は発表ごとに異なるため、どの条件で入手したかを記録しておくと判断できます。
- Q. CC BYの素材は教材に自由に使えますか
- A. CC BYは、原作者のクレジットを表示すれば改変も営利目的の二次利用も認められるライセンスです。クレジットをどこに表示するかを決めておく必要があります。
- Q. 販売する教材にCC BY-NCの素材を使えますか
- A. CC BY-NCは非営利の目的に限って利用を認めるライセンスです。販売する教材や受注制作の教材では、条件から外れる可能性があります。
- Q. 素材の色を教材に合わせて変えても問題ありませんか
- A. ライセンスの種別によります。CC BY-NDは作品の派生物や翻案を認めていないため、加工を前提とする場合は候補から外します。
- Q. 継承(SA)の条件は教材にどう影響しますか
- A. 素材を改変したり素材をもとに制作したりした場合、改変後のものを同一または互換のライセンスで公開する必要があります。教材の公開条件と両立するかを先に確かめます。
- Q. 記録しておく項目は何ですか
- A. 素材ごとの入手先、ライセンスの種別、入手した日付の3点です。入手先はサービス名だけでなく素材のページまで残します。
- Q. ライセンスを商用可のように要約して記録してもよいですか
- A. CC BY 4.0のように名称と版数をそのまま書き写します。要約に置き換えると判断した人の解釈が混ざり、後から原文にあたれなくなります。
- Q. 3Dコンテンツを含むデジタル教材制作は大寳製版株式会社へ相談できますか
- A. 回転やズームに対応した3Dコンテンツの制作実績があります。教材への組み込みや紙の教材の画面向けの作り直しについてお問い合わせください。
※本コラムはAIツールを補助的に活用し、内容の最終確認・編集は担当者が行っています。必要に応じて公表資料・一次情報を確認のうえ掲載しています。