私たちは普段、教材作成やデザインを通して「わかりやすく伝える」事を仕事として、プロとして日々向き合っています。
最近は業務内容も時代と共に変わってきており、紙媒体だけでなく動画やコンテンツ、3Dでの視覚的な表現での様々な「伝える」方法を提供することも増えてきました。
ただ、3Dでのコンテンツ作成において、最終的な判断軸は「予算」の話になってきます。これは当然ですよね。価格相応の効果や費用対効果を得ることが出来るのか?
だからこそ最初にお伝えしたいのは、「全部を3Dにする必要はない」ということ。けれど、3Dでなければ届かない場面が、現場にも営業にも、たしかにあります。今日はそこを言葉でじっくり描いてみます。数字は脇に置いて、“目の前の困りごと”をベースにお話しします。
① 写真でも動画でも足りないとき、何が起きている?
うまく伝わらない理由は、たいてい“視点”にあります。写真は一瞬を切り取るのが得意、動画は動きを連ねて見せるのが得意。でも実務の世界には、見えない中身や向き・角度の微妙な違い、暗黙のルールのように、どちらでも解決しきれない要素がある。3Dはここで効きます。視点を変えられて、必要なところだけを強調できて、ルールを重ねて「ここが大事」を明示できるからです。
② 必要になる可能性のあるシチュエーション
(1)中身を把握することで全体像が分かる!
カバーの内側に安全センサーがある、配管の奥で逆止弁が働く、強度を出すリブが見えない場所にある。
中身の説得を見る側に伝える方法として写真ではかなり難しいです。動画でも、フタを開けて撮れば危険だったり、撮れる角度に制約があったりします。
3Dなら、外装を半透明にして“中だけ”見せたり、必要な部品をゆっくり手前に引き出して並べたり出来ます。
実際の動きを見せて業務や機材の“全体像”を把握することが出来ます!物事を理解するためには点ではなく点と点を繋ぎ合わせた線で考えることが大事だと日々感じておりますが、それを叶えることが出来ます。
メンテの人には交換順を、品質管理には設計の意図を、営業には「見えないこだわり」を。同じデータを、立場に合わせて切り分けて見せられるのが、3Dの強みです。
(2)微差が大差を生む角度!
人が迷うのは、たいてい角度の差が判断できないときです。コネクタの差し込み方向、フィルムの通し順、治具の当て角。などなど。
引きの写真を何枚並べても、最後の決め手が伝わらない。動画で回しても、「どの角度が正解なのか」が残像になってしまう。
3Dなら、正解が分かる角度で止めることができます。A→Bに視点を切り替えて、ケーブルの“逃がし”やピンの“向き”をぴたりと示す。実機が近くにあって触れる現場でも、触る前に“正しい角度のイメージ”を頭に入れておくだけで、ミスが減って作業が滑らかになります。
これが全てではないですが、品質に厳しい日本人であれば神は細部に宿るということは既に理解していることと思います。
(3)暗黙のルールはダメ!見える約束に変える「明示」!
「しっかり締める」「焦らず入れる」「ここは危ない」——言いがちですよね。他にも「ちゃんとしなさい!」など、絶妙に具体的でない表現って一杯あります。
例えば危険域は赤、流れは青、注意は黄、と意味のある色を重ねて見比べることが出来たら、わかりやすい表現になると思いませんか?
順序の矢印、シールの塗布幅、手を入れてよい“安全ゾーン”を、同じ角度・同じ明るさでOK/NGを並べて見せられる。「言葉で曖昧だったものが、目の前の“約束事”に変わる」——これが3Dの一番の価値だと思っています。
③ それでも予算が・・・コストを掛ける意味はあるのか?
迷ったり、勘違いや認識を正すために何度も往復して確認する作業。業務においてはここが最も大きなコストになってくると考えています。3Dに投資するという事は、“豪華に見せるため”ではありません。
現場であれば、分からないたびに手が止まり、ベテランが呼ばれ、説明のやり直しが発生する。営業では、図や言葉の補足が増えるほど、お客様の頭の中のイメージがあやふやになる。など、3Dで“要点を1回で共有”できると、説明の往復が減り、伝わるまでの時間が短くなる。ここで削れているのは、単なる見た目の良し悪しではなく、人の時間と集中力です。
もう一つ、大きな理由があります。ひとつ作れば、何度も使えること。教育、品質、営業。立場ごとに見せ方は変えても、中身は同じです。写真を撮り直すより、バージョン違いに耐える。これは、先々の運用面で効いてくる仕事の節約術でもあると思います。
④ まずは小さく(実証実験から)始めるのが良いと思います。
最初から大きくやらなくて大丈夫です。一番つまずきが多い工程をひとつ選んで、まずは静止画の見直し(トリミングと矢印)から手を入れる。
それでも迷いが残るなら、角度を切り替えた二枚を足す。まだ誤解が出るなら、3Dで“内部・角度・明示”のどれか一つを補強する。
営業で使うなら、その3Dを短い動画にして一枚の資料に埋め込む。リモートでも、展示会でも、「そういうことか!」が早い資料になります。
⑤ それでもいらない時はちゃんと言います!
もし投資に対して効果が得られないと判断できる場合、絶対にやらない方がいいと思っています。
単発のスイッチ操作、平面的で死角のない部品、現場でいつでも実機に触れられる工程、仕様が短いサイクルで変わり続ける領域。こういうところは、写真+短い注釈のほうが軽くて早いです。なんでも3Dにしない。必要なところにだけ、必要なだけ。そのほうが、結局は伝達の質が上がります。
⑥ まとめ — 投資先は“内部・角度・明示”で見分ける
3Dは魔法ではありませんが、写真や動画では届かない場所に手が届く道具です。中身を見せたい“内部”、向きを確かめたい“角度”、ルールを約束に変える“明示”。この三つのどれかに当てはまるなら、3Dは強い味方になります。そこにコストをかける理由は、目新しさではなく、迷いの往復を止めるため、そして一度作った“納得”を何度でも配れるため。
予算の話になるのは当然です。でも、話すべきは「全部やるか」ではなく、どの一点なら確実に効くか。その一点をきちんと見極めて、必要なだけ作る。私たちはその“見極め”からご一緒できます。まずは、現場や営業で一番困っている瞬間がどんな現場でもあるかと思います。そこにこそ、3Dの価値があります。