2026.09.10

日本語で学ぶ国際バカロレアの教材は何に合わせて作るのか?科目の枠組みと学習指導要領の対応を解説

2026.09.10
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国際バカロレア(IB)のディプロマ・プログラムを日本語で学べる都立高校が2028年度に新設されます。東洋経済オンラインの報道(2026年9月7日)によると、東京都教育委員会は定員割れが続く都立第一商業高校を普通科へ改編し、日本語で学べるIBのコースを置くとしています。

改編の中心にあるのが、国際バカロレアのディプロマ・プログラムです。ディプロマ・プログラムとは、16歳から19歳を対象にした2年間の課程で、所定のカリキュラムを履修して最終試験で所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格を得られるものです。

日本語で行うIBの科目は通常の高校の科目と同じ教材で足りるのか、それとも別の作りになるのかは、教材を作る側からは分かりにくいところです。この記事では、日本語DPの科目の内容と評価が何で決まっているのかを科目の枠組みと学習指導要領との対応から解説します。

日本語DPとは何か?

日本語DPとは、国際バカロレアのディプロマ・プログラムのうち一部の科目を日本語で履修できるようにした仕組みで、2013年度から国際バカロレア機構との協力のもとで開発と導入が進められてきたものです。

日本語DPは、すべての科目を日本語で受けられる仕組みではありません。日本語で履修できる科目には決まった範囲があり、範囲の外にある科目は英語などで履修する形になっています。

ディプロマ・プログラムの科目の組み立て

ディプロマ・プログラムの科目は、6つの教科グループから1科目ずつ選んだ計6科目と、コアと呼ばれる必修の3科目で組まれています。

IB教育推進コンソーシアムのディプロマ・プログラムの解説では、6科目のうち3〜4科目を各240時間の上級レベル、残りを各150時間の標準レベルで学ぶとされています。コアの3科目は知の理論(TOK)、課題論文(EE)、創造性・活動・奉仕(CAS)です。

つまり、ディプロマ・プログラムは6つの教科グループから1科目ずつとコア3科目を2年間で履修する課程です。教材を考えるときの単位にも、この科目の区切りがそのまま当てはまります。

日本語で履修できる科目の範囲

日本語で実施できる科目は、6つの教科グループの全科目ではなく決まった範囲に限られています。

日本語で実施できる科目の一覧はIB教育推進コンソーシアムの「日本におけるIB教育」に掲載されており、「経済、地理、歴史、生物、化学、物理、数学:解析とアプローチ、数学:応用と解釈、音楽、美術、知の理論(TOK)、課題論文(EE)、創造性・活動・奉仕(CAS)」と並べられています。

つまり、日本語で実施できる科目は経済・地理・歴史・生物・化学・物理・数学2科目・音楽・美術とコア3科目に限られています。同じ教科グループでも、理科のコンピューター科学のように一覧にない科目は日本語での実施の対象外です。

英語で履修する科目の数

日本語DPを置く学校でも、6科目のすべてを日本語で受けるわけではありません。

同じIB教育推進コンソーシアムの「日本におけるIB教育」には、「ただし、日本語DPでも、6科目中2科目(通常、グループ2(外国語)に加えて更に1科目)は、英語等で履修する必要。」と記されています。

そのため、日本語DPでも6科目のうち2科目は英語等で履修する形になっています。日本語の教材は残りの4科目までを受け持ち、外国語の科目ともう1科目は英語の教材の範囲になります。

実際にどの科目を日本語にするかは学校ごとに違います。滋賀県立虎姫高等学校の国際バカロレアの案内には、数学と化学を日本語で、言語習得の科目を英語で実施していると書かれています。教材を用意する前に、その学校がどの科目を日本語で開くのかを確かめておく必要があります。

日本語DPを行っている学校の内訳

日本語DPを実施している学校の大半は、いわゆる一条校です。一条校とは、学校教育法第1条に定められた小学校・中学校・高等学校などの学校で、学習指導要領に従って教育課程を組む学校を指します。

インターナショナルスクールの多くは一条校に含まれず、そこでの日本語DPの実施はごく少数にとどまっています。

IB教育推進コンソーシアムの認定校一覧(2026年6月30日時点)には、国内のIB認定校等273校のうち、日本語DPの実施校が一条校で37校、それ以外で2校と掲載されています。

つまり、日本語DPの実施校は39校で、そのうち37校を公立を含む一条校が占めています。公立高校の例では、教育新聞の記事(2026年6月2日)が、都立第一商業高校の改編後のコースで日本語によるディプロマ・プログラムを1学年25人程度で実施すると報じています。

日本語DPは、ディプロマ・プログラムの科目のうち一部を日本語で履修する枠組みです。どの科目を日本語で開くかは学校ごとに決まるため、教材の話も科目ごとに分けて考えることになります。

一条校の日本語DPと学習指導要領の関係

一条校は高等学校としての卒業要件を満たす必要があるため、日本語DPの科目は学習指導要領との関係を整理したうえで置かれています。

学習指導要領の科目を履修したとみなす3つの要件

2015年8月に学校教育法施行規則が改正され、DP認定校には国際バカロレアと学習指導要領の両方を無理なく履修できるようにする教育課程の特例が認められました。

文部科学省の「国際バカロレア(IB)グラフ等データ」(2025年8月)には、「高等学校学習指導要領に定める内容事項が適切に取り扱われていること」を含む3つの要件が記載されています。残りの2つは、生徒の発達の段階と内容の系統性への配慮、そして転出入への配慮などの教育上必要な配慮です。

これは、告示の3要件を満たすDP科目が学習指導要領の科目を履修したものとみなされる仕組みです。生徒は同じ授業でDPの科目と高校の科目の両方の履修を済ませることになります。

告示が定めるDP科目と高校の科目の対応

どのDP科目をどの高校の科目として読み替えるかは、告示の対応関係に沿って決まります。

同じ文部科学省の資料の対応表では、歴史は歴史総合、地理は地理総合、数学の2科目は数学Ⅰ、知の理論は総合的な探究の時間にあたるとされています。

つまり、告示は歴史と歴史総合、数学と数学Ⅰのように科目ごとの対応を定めています。対応先はいずれも必履修の科目で、DPの科目がその履修を兼ねる形です。

日本語DPの教材に残す学習指導要領の内容事項

日本語DPの科目で使う教材は、学習指導要領の内容事項を落とさずに作る必要があります。要件を満たすかどうかは授業全体で判断されますが、教材の側で歴史総合や数学Ⅰの内容事項がどこにあるのかを一覧にしておけば、教員は対応関係を確かめる手間を省けます。

一条校では、日本語DPの科目が学習指導要領の科目を兼ねる形で置かれています。教材は、国際バカロレアが科目ごとに定める内容と学習指導要領の内容事項の両方に合わせて作ることになります。

ディプロマ・プログラムの成績はどのように決まるのか?

ディプロマ・プログラムの成績は、最終試験の点数だけで決まるものではありません。

資格の取得に必要な点数の内訳

国際バカロレアの資格は45点満点の総合点で判定され、24点以上が資格の条件の1つになっています。

滋賀県立虎姫高等学校の国際バカロレアの案内では、「6科目は課題と最終試験(筆記)の結果によりそれぞれ7点満点で評価され」、コアの3科目は知の理論と課題論文の結果により合わせて3点満点で評価されると説明されています。

つまり、45点満点のうち6科目が各7点、コア科目で3点の配点で、24点以上が資格の条件になっています。科目の7点には最終試験だけでなく課題の結果も含まれています。

世界共通の試験と学校内の評価の分担

評価は外部評価と内部評価の2つに分かれ、外部評価は世界共通の試験、内部評価は各学校の教員が受け持ちます。

文部科学省の「国際バカロレア(IB)グラフ等データ」には、外部評価が「世界共通の試験による評価等」、内部評価が「各学校の教員による評価」で、内部評価は「IB機構による適正化が行われる」と記載されています。

これは、外部評価が世界共通の試験で、内部評価は各学校の教員が行い国際バカロレア機構が適正化するという分担です。日本語で履修する科目では、内部評価の課題にも日本語で取り組むことになります。

日本語で書く課題論文の分量

コア科目の課題論文は、日本語DPでは日本語で書き、分量も英語とは別に定められています。

同じ文部科学省の資料には、課題論文について「英語は4,000語, 日本語は8,000字」と記載されています。

つまり、課題論文は英語では4,000語、日本語では8,000字で書きます。生徒が自分で研究課題を立てて論文にまとめる科目であり、日本語で8,000字を書く前提で手引きや例を用意する形になります。

教材に含める試験の練習と課題の素材

日本語DPの教材は最終試験の練習だけでは足りず、学校内で評価される課題に取り組む素材まで受け持ちます。各科目の7点には課題の結果が含まれ、コア科目の3点は論文と知の理論の成果で決まるためです。

試験形式の問題集と、課題や論文に使う資料や記述の例を分けて用意しておけば、教員は評価の種類ごとに教材を選べます。

ディプロマ・プログラムの成績は、世界共通の試験と学校内の評価の両方で決まります。

まとめ

日本語DPの教材は、国際バカロレアが定める科目の枠組みと学習指導要領の内容事項の両方に合わせて科目ごとに作られます。日本語で履修できる科目は決まった範囲にあり、一条校では告示の対応関係で高校の科目を兼ね、成績は試験と学校内の評価の両方で決まります。

大寳たいほう製版株式会社では、こうした前提を確かめたうえで科目ごとの教材の作りについてご相談いただけます。

日本語DPの科目で使う教材の制作は大寳製版株式会社へご相談ください

大寳製版株式会社は愛知県春日井市にあります。教材制作会社として学習参考図書の組版と図版の制作を50年以上続けてきました。設立は1967年です。

実績には、大学の紙の教材をタブレット対応のデジタル版に作り直した事例(文化学園大学)や、学習世界地図シリーズの改訂で組版と図版を担当した事例があります。企画から組版・図版・デジタル教材制作・印刷まで一気通貫で対応できます。

日本語DPの科目に向けた教材で学習指導要領の内容事項との対応を一覧にしたり、試験向けの問題と課題向けの資料を分けて組んだりする作りについても、大寳製版株式会社へお問い合わせください。

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よくある質問

Q. 日本語DPとは何ですか?
A. 国際バカロレアのディプロマ・プログラムのうち一部の科目を日本語で履修できるようにした仕組みです。日本語DPでも6科目のうち2科目は英語などで履修します。
Q. 日本語で履修できる科目はどれですか?
A. 経済・地理・歴史・生物・化学・物理・数学の2科目・音楽・美術と、知の理論・課題論文・創造性・活動・奉仕のコア3科目です。実際にどの科目を日本語で開くかは学校ごとに決まります。
Q. 日本語DPの科目は高校の科目として認められますか?
A. 一条校では教育課程の特例の告示により、学習指導要領の内容事項が適切に扱われていることなど3つの要件を満たすDP科目は、対応する高校の科目を履修したものとみなされます。歴史は歴史総合、数学は数学Ⅰに対応します。
Q. 日本語DPの教材制作を大寳製版株式会社に相談できますか?
A. 科目ごとの教材の組版や図版、デジタル教材制作についてご相談いただけます。学習指導要領の内容事項との対応を一覧にする作りなども、お問い合わせください。

※本コラムはAIツールを補助的に活用し、内容の最終確認・編集は担当者が行っています。必要に応じて公表資料・一次情報を確認のうえ掲載しています。

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