生成AIが実用レベルのコードを書くようになった2026年現在、子ども向けプログラミング学習教材は、コードを書かせる教材からAIの出力を読み解いて確かめさせる教材へと目標を移す段階に入っています。
プログラミング教室や教育系出版社の教材担当者からは、AIに質問すれば答えのコードが返ってくる環境で、これまでの演習型教材をどう作り直せばよいかという悩みを耳にします。
教材制作会社である大寳製版株式会社が、2026年6月に発表された新教材の事例を手がかりに、AI時代のプログラミング学習教材で押さえるべき制作のポイントを解説します。
AI時代のプログラミング学習教材とは?何が変わったのか
プログラミング学習教材とは、コードの文法や処理の流れを段階的に体験させながら、論理的に考える力を育てるための教材であり、紙のテキストからWeb上の演習環境まで幅広い形態をもちます。
2020年度に小学校でプログラミング教育が必修化され、2022年度には高校で情報Ⅰが必修になりました。2025年1月実施の大学入学共通テストから情報Ⅰが出題され、プログラミングは受験にも直結する学習内容になっています。
この10年で整った学習環境に、生成AIという変数が加わりました。答えのコードをAIが数秒で返す状況では、正解のコードを書き写して完成させる形式の演習は、学習として成立しにくくなっています。
2026年発表のWorldCraft AIが示した教材の方向性
プログラミング教室を運営するハックは、AI時代の新しいプログラミング学習教材「WorldCraft AI」の開発(2026年6月24日発表)で、AIとの向き合い方を教材の仕様に組み込みました。
WorldCraft AIは、Minecraftの世界をKotlinというプログラミング言語で書き換えながら学ぶ教材です。Webエディタには、教材の仕様書を参照しながらコードを生成するAIアシスタントが搭載されています。
注目すべきはAIが提示したコードをコピー&ペーストできない仕様です。学習者は提示されたコードを自分の手で入力し直す過程で、文法や構造を体に覚えさせていきます。
AIを禁止するのではなく、AIの答えを読んで理解しなければ先へ進めない構造を教材側で用意する発想は、これからのデジタル教材制作を考えるうえで参考になります。
AIがコードを書く時代に子どもが学ぶべき力
AIがコードを書ける時代の学習目標は、コードを速く書ける力ではなく、AIが出したコードの意図と誤りを読み取れる力に置き換わります。
読み取れる力の中身は、処理の順序を追える読解力と、期待した動きになっているかを確かめる検証の習慣です。どちらもAIに肩代わりさせられない部分であり、教材が育てるべき対象はここに絞られていきます。
教材制作の現場でも、正解コードを完成させて終わる構成ではなく、動かした結果を観察して原因を考えさせる構成への転換が求められています。
子どもが身につけるべき力に合わせた教材設計のポイントは?
ビジュアルプログラミングとは、ブロック状の命令を画面上で組み合わせてプログラムを作る方式のことであり、文字入力の負担なしに処理の流れを学べる点から低学年向け教材で広く使われています。
ビジュアルプログラミングからテキストコーディングへ進む段差をどうつなぐかは、以前からの課題でした。AI時代の教材では、この段差の途中にAIの出力を読む演習を挟む構成が選択肢になります。
到達目標を書く力から読んで確かめる力へ移す
制作の最初に決めることは、その教材で子どもに何を判断できるようにさせたいかです。到達目標が変われば、画面の構成も出題の形式も変わります。
たとえば読む力を育てる教材なら、あらかじめ用意されたコードの一部を隠して動きを予想させる出題が有効です。確かめる習慣を育てるなら、実行結果がすぐ画面に反映され、試行錯誤を繰り返せる演習環境が向いています。
WorldCraft AIが採用した写経方式も、読んだコードを一文字ずつ手で追わせることで理解を確かめる仕掛けのひとつです。
AI任せの構成で起きるつまずき
失敗しやすいのは、既存の演習型教材にAIチャットを後付けしただけの構成です。答えを写せば課題が完了してしまうため、学習の実態が伴わないまま進度だけが先へ行きます。
保護者や指導者から見ると課題は順調に消化されているのに、単元末の確認テストで手が止まる子どもが続出する状況が生まれます。教材への信頼を損なう結果につながるため、AIの組み込み方は制作の初期段階で決めておく必要があります。
AIの回答範囲を教材の仕様書に限定したWorldCraft AIのRAGのような仕組みも、つまずきを防ぐ手立てになります。RAG(検索拡張生成)とは、AIが回答を作る際に指定した資料を参照させる技術のことで、教材の内容から外れた回答を減らせます。
教材のデジタル化で教材制作会社は何を担うのか?
プログラミング学習教材の企画で技術面の議論が先行すると、画面の中で学びが続く仕掛けづくりが後回しになりがちです。学びが続く仕掛けこそ、教材制作会社が経験を発揮できる領域です。
大寳製版株式会社は、教材・学習参考図書の制作で50年以上の実績をもつ教育コンテンツ制作会社として、紙で培った情報の見せ方をデジタル教材制作に応用してきました。
学びが続くインタラクティブ教材の仕掛け
インタラクティブ教材とは、学習者の操作に応じて表示や出題が変化する教材のことであり、繰り返し取り組ませたい学習内容と相性がよい形式です。
大寳製版株式会社が制作した漢字学習ツール「e漢字ナビ」では、UnityとHTMLを組み合わせ、書き順アニメーションやなぞり書きをブラウザ上で操作できるようにしました。
正解を提示して終わりではなく、自分の手を動かして確かめる過程を画面に組み込む考え方は、プログラミング学習教材にも通じます。動かして試せる環境の作り込みが、学びの継続を左右します。
外注前に確認しておきたい落とし穴
デジタル教材制作を外注する際に見落とされやすいのは、教材を届ける環境の確認です。学校のGIGAスクール構想で配備された端末はブラウザ利用が前提のことが多く、アプリのインストールを要する教材は使えない場面があります。
企画段階で対象の端末・回線・利用場面を制作会社と共有しておかないと、完成後に動作しない環境が見つかり、作り直しの費用が発生します。
改訂のしやすさも確認しておきたい点です。プログラミング言語やAIの仕様は数年で変わるため、部分的に更新できるデータ構造になっているかどうかが、教材を長く使えるかを分けます。
まとめ
AIがコードを書く時代のプログラミング学習教材は、書かせて完成させる構成から、AIの出力を読み解いて確かめさせる構成へ移行していきます。2026年6月発表のWorldCraft AIが採用したコピー&ペースト不可の仕様は、その転換を象徴する事例です。
転換期の教材づくりでは、到達目標の再定義と、学びが続く画面づくりの両方が求められます。大寳製版株式会社には、教材のデジタル化とインタラクティブ教材の制作経験があり、企画段階からご相談いただけます。
プログラミング教育に関わる教材の企画・制作をお考えの際は、大寳製版株式会社までお気軽にご相談ください。
参考事例
よくある質問
- Q1. プログラミング学習教材とは何ですか?
- A1. プログラミング学習教材とは、コードの文法や処理の流れを段階的に体験させながら、論理的に考える力を育てる教材のことです。紙のテキストからブラウザ上の演習環境まで、形態は多岐にわたります。
- Q2. AIがコードを書ける時代に、子どもがプログラミングを学ぶ意味はありますか?
- A2. あります。AIの出したコードが正しいかを判断するには、処理の流れを読み取る力が欠かせません。2026年現在の教材開発は、書く力よりも読んで確かめる力を育てる方向へ移っており、学ぶ内容が変わっただけで学ぶ意味は失われていません。
- Q3. ビジュアルプログラミングとテキストコーディングはどう違いますか?
- A3. ビジュアルプログラミングはブロック状の命令を組み合わせる方式で、文字入力なしに処理の流れを学べます。テキストコーディングはKotlinやPythonなどの言語で文字のコードを書く方式です。学年や到達目標に応じて、両者を段階的につなぐ構成が必要です。
- Q4. 子ども向け教材にAIアシスタントを組み込んでも大丈夫ですか?
- A4. 組み込み方次第です。答えを写して完了できる構成では学習が成立しません。WorldCraft AIのようにコピー&ペーストを不可にする、RAGで回答範囲を教材の仕様書に限定するなど、理解を経ないと進めない仕掛けとの併用が前提になります。
- Q5. プログラミング学習教材の制作は外注できますか?
- A5. 教育コンテンツ制作会社への外注が可能です。企画・画面設計・イラスト・開発をまとめて依頼できる会社を選ぶと、学習内容と画面の仕掛けを一体で検討できます。発注時は対象端末と利用環境を最初に共有することをお勧めします。
- Q6. ゲーム型の学習教材は遊びに流れませんか?
- A6. 到達目標と結びついた出題になっていれば、ゲームの形式は繰り返し学習を支える仕組みになります。操作した結果がすぐ画面に返る構造は、確かめる習慣を育てるうえでも有効です。
- Q7. 教材のデジタル化はどこから着手すればよいですか?
- A7. 対象学年・利用端末・到達目標の3点を整理することからです。既存の紙教材がある場合は、紙の構成のどこを動く仕掛けに置き換えると理解が進むかを制作会社と一緒に洗い出すと、費用対効果の高い範囲から着手できます。
- Q8. 大寳製版株式会社はプログラミング学習教材の制作に対応していますか?
- A8. 大寳製版株式会社は、UnityとHTMLを使った漢字学習ツールやゲーム型コンテンツなど、教育・学習支援に関わるインタラクティブ教材の制作実績があります。プログラミング学習向けの教材についても、企画内容に応じてご相談ください。
※本コラムはAIツールを補助的に活用し、内容の最終確認・編集は担当者が行っています。必要に応じて公表資料・一次情報を確認のうえ掲載しています。